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10 七夕狂詩曲

たまに感想とかいただいたりします。ホントに嬉しいです、ありがとうございます!!(>_<)


今日は七夕。一年に一度しか会えない織り姫と彦星が唯一であえる日。

この日人々は短冊に願いを書き、竹に飾り付け祈るのである。



そんな素敵な日に暗い顔をした人間がいた。2‐6空手部の四人である。

今四人は生徒会室の前にたっており、みんなかなりテンションが低い。


「…部活、大丈夫かなぁ」


「…何とかして停部だけは防がないと」




さて、この四人に何がおこったのか?


それは昨日に遡る。







・・・・・・


「やばっ!もう下校時刻じゃん!!!」


その日、優美はみんなより遅くまで練習していた。(普段から人より練習するのだが、今回は少し長めにしたようだ。)そのため、今優美は下校時刻ギリギリである。早く着替えて校舎を出なければならない。

しかし女子の更衣室は少し離れた場所にある。今からいくともう時間がない。



「うーん時間ないしなぁ…あぁ仕方ない!今回は男子んとこ使おう、もう誰もいないし」



この判断が間違いだった。




「あぁっ!急いでると何で服着るのに時間がかかるんだろ!?」


そんなことをいいながら、優美は練習着を全部脱いでから体を拭いて、それからスカートを手にとりはこうとしていた。

その時である。




ガチャン



「えーとチャリキーチャリキーッと、あった!!


………え??」



現れたのはやはり蓮だった。

二人の目があってしまった。


優美は顔を真っ赤にさせる。蓮も真っ赤だ。

しかしこんな状況でも蓮には感じる。彼女から放出される明確な殺意を。


蓮は悟った。



オレ、コロサレル。




「れ〜ん〜??」



「あはは…何かな??」


蓮は目を必死にそらす。しかし、やはり見てしまう。だって好きな人の下着姿なんだから。



「何か言うことは〜??」


優美が指を鳴らしながら迫ってくる。

もう下着だろうが関係ない。一先ず蓮をぶっ殺す。そう空気が語っている。


もう蓮に術はない。だから正直にいうことにした。



「あはは…あれだな、

水色のシマシマ、かわいいな」




プチンッ!!


ついにキレた。



「れ〜〜〜ん!!!!」







・・・・・・・・


その後のことはわかるだろう。優美と蓮が校舎から出てこないのを心配した三咲と匠が様子を見に行ったところ、かなりド派手な喧嘩が行われていたのだ。(喧嘩というが、明らかに一方的にやられている) それは二人では止められず、ついには先生を巻き込んでの大騒動になってしまったのだ。


それで四人は先生達に怒られ、更に生徒会から呼び出しをくらったのである。




この学校の生徒会の権力は大きい。なので、生徒会から呼び出しがあるというのは、何らかの処罰が下るのと同じ意味を示す。同じような理由で停部になった部活は数多く存在している。


つまり、優美達は今停部の危機なのだ。


しかもその確率はかなり高い。何と言っても生徒会長があの人だから。



「……考えても仕方ないし、早く入るよ」


そういって優美は扉をノックした。




・・・・・・・


「…やっぱりあなたたちだったのね」


その声を聞いた瞬間、優美は一気にテンションが下がった。




声の主は朝倉絵里あさくらえり。この学校の生徒会長である。


彼女は優美達の隣のクラスの生徒で、一年生のときから生徒会に所属している優等生。体育以外の教科なら何でもこなせ、それなのにとても美しい。この長くてサラサラした真っ黒な髪と大きな黒い瞳で何人もの人間を魅了したものだ。


事実、男子の間では生徒会の絵里、軽音の栞、そして女王様の優美というのは人気トップ3なのである。




優美は絵里が嫌いであった。というのも、絵里は負けず嫌いな性格があり、テストがあるとなぜかいつも優美や栞にいやみに自慢してくるのだ。

それはおそらく『私が1番よ!!』といいたいだけなのだろう。栞は彼女の性格を知っているため、あまり相手にしないようにしている。


しかし優美は違う。優美はとても単純で、絵里に負けずをとらずの負けず嫌い。だから彼女は絵里に体育の自慢ばかりするのだ。



そのようなわけで二人はかなり仲が悪い。

「まぁ桜井さんがいるからある意味仕方がないことなんでしょうね。」



「すいませんね〜優等生の朝倉さん」



既に二人の間には火花が散っている。



「ばかっ止めなさいよ優美!!」

流石に三咲が注意する。


それでも二人の間には嫌な空気が流れている。



もう優美にはなにもさせられない!そう思った蓮は、優美と絵里の間に立って話し出した。



「すいません!!今回の件は全て俺が悪いんです!


だから部活動停止ということはやめてください!お願いします!!」



蓮は深々と頭を下げた。

その様子を絵里が驚いたようにみていた。


「あなたって、もしかして大野君??」



「あ、はい、そうですけど…」


蓮は恐る恐る顔をあげた。絵里は蓮の顔をじーっと見ている。


その様子をみて、優美は余計にイライラした。なにこいつ?蓮ばっかみて、なにがしたいの??




それから少しして、絵里が何か思い付いたように話し出した。


「…ねぇ大野君、そんなに停部イヤ??」



「え??あ、はい、いやですけど…」


絵里が突然ラフな話し方をしたので蓮は驚いた。他の三人もキョトンとしている。



「停部にならないためなら、何でもやる??」



「え??…はい、やりますけど。」




話の流れがわからない。優美には理解できなかった。なにこいつ?何をたくらんでるの??




そして次の瞬間、空気が一瞬に凍り付く。




「じゃあ大野君、私とデートしてください!!」




「「「「…え??」」」」




その時、優美は今までに感じたことのない寒気を感じた。

「冗談のつもりだったけど…」




「…ちょっと待って、あなた今…」




次回は負けず嫌いの二人の戦いです。



愛子

「私もデートしたいよぉ…」



朝倉

「うん、それ無理♪」


隼人

「これって…」

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