やるる君の生い立ち
これは私が自殺未遂をした時の体験から話を作り上げました。
やるる君の生い立ちを言いましょう。
やるる君のお父さんは病弱で、働けませんでした。ですから生活保護を受けざるえませんでした。
そんなお父さんですが、やるる君が立派になるよう、勤労、勉学、スポーツをすすめました。やるる君は聞き分けの良い子供だったので、お父さんの言うとおり学校で学んでいるときはまじめに勉強、スポーツをしていました。
やがて学校を卒業すると、やるる君は働き始めました。独り立ちをし、お父さんのもとを離れ生活していきました。
初めて稼いだお金でお父さんに今まで育ててくれたお礼をしました。お父さんには体が強くなるよう、高価な薬、やるる君の妹にはチョコレートを買ってあげました。やるる君も妹もチョコレートを食べたことがなかったからでした。
順調に働き、お金も貯まるとお寺に通い始めました。そこでお布施をたくさんし、お父さん、妹が一日も早く良い暮らしができるよう祈りました。
そんな生活を続けていたらきっと仏様が助けてくれる、とやるる君は思っていたからです。しかし、現実はそうではありませんでした。
日に日にやるる君はやせ細り、また、仕事もきつい仕事でしたから、うつ病になってしまいました。
ある日のこと、やるる君はうつ病がひどくなり自殺しようとしました。しかし、お寺の信徒であるやるる君は自殺はいけないことだと知っていたので、一日にチョコレートの粒一粒と水だけで過ごすことを決意しました。
体重は減り、栄養失調になりました。それでもやるる君はうれしかったのです。
「ああ、僕はこれで仏様のところへ行けるんだ。でも最後にお父さんと妹に会いたいなぁ。先立つ不孝を許してください。」
そう言って、一粒のチョコレートを食べて笑い顔をしました。
あと一日遅れたら死ぬところだった、と言う瀬戸際でやるる君は助かりました。しかし、栄養失調からくる重い病気にかかり、働けなくなったのでした。
やるる君はそれからチョコレートを食べません。苦くて甘いチョコレートがいろいろな想いをやるる君に思い出させるからです。