ヴァルキリーズ・ストーム外伝 紅葉のなぜなにFG講座 その一
……「一年戦争秘録」作者の片割れ、でっちの助六です。
ここでは、飛行艦やメサイアが空を飛ぶ理由、FGフィールドについて、あの二人に解説してもらいましょう。
この二人、メサイア絡みでは主役級確定です。これから活躍する予定ですので、ちょっと早いけど、お見知り置きをお願いします。
ああ。僕ってなんて優しいんだろう(うっとり)
■登場人物
津島紅葉(つしま・もみじ 以下、紅葉)
現近衛兵団技術中佐。メサイアの他、飛行艦など、各種兵器の開発を担当。
四方堂緑(しほうどう・みどり 以下、緑)
現明光学園在学中。同校生徒会長。メサイアマニア。紅葉とはメサイア絡みで親友。
■FGフィールド概説
緑「ということです。よろしくね?紅葉ちゃん」
紅葉「あの腐れ猫(注・作者のこと)、やる気あるの?本編、2ヶ月アップしてないし」
緑「まぁまぁ。では、紅葉ちゃん。FGフィールドって聞き慣れない言葉が出てきましたが?」
紅葉「三味線屋に売り飛ばしてやろうかしら……」
緑「あのぉ……」
紅葉「あのバカの脳神経、いじってみたかったのよねぇ」
緑「本題!」
紅葉「ずばり、FGフィールドとは、重力をキャンセルする魔法技術のことよ!」
緑「(わっ。びっくりした)重力を、キャンセル……ですか?」
紅葉「そう。この世界で人類が使える、唯一の慣性制御技術ともいえるわ。ま、魔法に頼らない方法は、近々、私が開発するかもしれないけどね!」
緑「……えっと、慣性って、重力みたいなものですか?それを重力を制御することで、飛行艦は空を飛ぶということですね?」
紅葉「そう。飛行艦もメサイアもTACも。あ、ついでに魔法騎士達が空を飛ぶのもか。ほとんど同じ原理なのよ?」
緑「みんな一緒なんですか!?」
紅葉「そ。意外っていうか、バカ猫(注・作者のこと)が何も考えていないだけっていうか、設定が安易すぎるっていうか……」
緑&紅葉「ホント、バカ」(×2)
(わーんっ!という泣き声の記録有)
■WLFGとALFG
緑「あーあ、泣き出しちゃった。ま、あのオバカさんは放っておいて、紅葉ちゃん。そのフィールドっていうのは、どういう形で展開されるの?」
紅葉「フィールドは展開方法に二通りあるわ。艦のウォーターラインから下にのみ結界を展開するのが、WLFGフィールド展開。通常航行時はほとんどがこっち。フィールドで艦全部を覆うと、艦内が無重力になるけど、このフィールド展開なら、それがないから通常航行には便利ってことね。
もう一つが艦そのものを結界で覆うALFGフィールド展開。隠密行動時や戦闘時に多用されるのはこっち。
今、私が設計中の仮称901番艦(注:九重級のこと)は、艦の性格上から、逆に後者のフィールド展開が前提になるわ。
でね?最重要区画(注:EDG−01内部)は、逆フィールド展開で重力発生させるの。すごいでしょ。
逆フィールド展開技術は、開発されたてで未公開、しかも近衛の超軍事機密だから、ばれると減俸どころじゃ済まないんだけどね。ま。大丈夫か」
緑「(知ぃらないっと……)ごめんなさい紅葉ちゃん。ウォーターラインとかオールラウンドっていわれても、ちょっと、イメージしづらいんだけど……」
紅葉(あきれ顔で)「緑ちゃん、想像力貧弱。もっとヤオイの受攻を語る時みたいに妄想、つーか、想像力を全開にして!」
緑「人前でなんてことを!(涙)」
紅葉「この前、某アイドルとそれだけで半日熱く語り合ってたクセに……」
緑「水瀬君が鉄砲玉になって襲ってくるような発言さけて下さい!シャレにならないから!」
紅葉「(しまった!)……ま。いいわ。本題に戻ってっと。いい?WLFGのWLは、ウォーターライン、すなわち喫水線のこと。
タ●ヤとかが出してる、やたら高いプラモのシリーズあるでしょ?あれってそういう意味。
……知ってる?昔のあのシリーズって、駆逐艦数百円で買えたのよ?何よたかが戦艦一つのプラモで数千円って!子供買えないじゃない!」
緑「あのー」
紅葉「いいのよ……どうせ……貧乏人はプラモ買うなってんでしょ?」
緑「進行を」
紅葉「やるわよ。どうせ、この作品だってネット小説だけのことだもんね。……普通の船でも、この下は海。わかる?いわばフィールドを海水に見立て、そこに飛行艦を浮かべて航行させる方法。見えない海を航海しているってわけね。
この場合、ウォーターライン上の艦構造物はフィールドの外にあるでしょ?
だから、フィールドの影響を受けない。
つまり、フィールドの特徴でもある無重力状態から解放されるっていうメリットがあるわ。航行中の通常生活を考えたら、こっちの方が確かに何かと便利でいいのよ。
で、逆にALFGは、結界というカプセルの中に飛行艦を閉じこめているようなもの。そうね。カプセルの中に艦を閉じこめて、水の中に浮かべているって感じかしら?
この場合、艦内は無重力。これはこれで便利なんだけどね」
■FGフィールドの特殊効果(バリア効果等)について
紅葉「ちなみに、フィールドが、直に対物バリアになることは言ったっけ?」
緑「いいえ。初耳です」
紅葉「フィールドそのものは、特殊な電磁層を形成する。斬艦刀はこの電磁層を元にして開発されたから覚えとおいて。
斬艦刀は、剣にこのフィールドを発生させて、相手を破壊する兵器……ま、誰も攻撃兵器にこのフィールド利用しなかったこと自体が驚きだけどさ。
この電磁層を魔法でコントロールすることで、バリア……他にもコンシールフィールド、つまり、視覚的・電波的隠れ蓑を作ることが出来るのよ。
ただし、バリア効果はそのまま搭載する魔晶石エンジン出力に左右される。
飛行艦でも相当高い出力を誇るような艦でなければ絶対無理。
それに、通常飛行レベルのフィールド展開では弱すぎてバリア効果なんてない。せいぜいが対艦ミサイルが止められる程度にすぎないわ」
緑「十分じゃないですか」
紅葉「だめ。かなりのダメージ受けるけど、高速移動するメサイアの強襲までは阻止出来きれないもの。速度と質量の相乗効果に押し切られるのよ」
緑「無理、なんですか?」
紅葉「巡航艦レベルなら、シールドを犠牲にして突っ込めば、突破出来ないこともないわ」
緑「さすがメサイア!ね?緑ちゃん。メサイアにもバリアとか出来ないの?」
紅葉「艦艇用エンジン搭載しているFly rulerは別物だから除外するけどね。
部分的には可能だけど、騎体全部はまず無理。メサイアはFGフィールドを機体の限定された箇所で展開して、ブースター替わりにして飛行するのが前提。騎体全体を覆うのはFGフィールドによく似た、実は別のフィールド。
騎体全てを覆うバリア効果を期待できるほどのフィールドは、基本的に形成できないと考えて。もしやろうとしたら、パワー全部使い切っても足りるかどうか」
緑「メサイアでバリア張れたら便利なのになぁ……」
紅葉「安易すぎ。フィールドが邪魔で、こっちからも向こうからも攻撃できないなんて、戦闘兵器としてはバカみたいな話でしょ?ポイントディフェンスやエネルギーリフレクター程度で我慢なさい」
緑「でもぉ……」(バリア、欲しいよぉ……)
■FGフィールドのメリット・デメリット
緑「バリアも張れるし、空飛ぶし、飛行艦のFGフィールドって、いいことづくめなんですね?」
紅葉「ううん。そうでもないよ」
緑「え?」
紅葉「えっと、飛行艦を浮かばせる一種の結界こそがFGフィールドなわけだけど、案外とこれには問題もあるの。一番が、重力という物理的影響をキャンセルしてしまう一種の力場なだけに、物理的に結界の外と内を自由に行き来するようなことができないのよ。何しろ、万トン単位の物質浮かべるんだから、フィールドもかなり強力だからね。メサイアの出力じゃ、あり得ないことが起きるのよ」
緑「えっと……フィールドが、何か障害になるんですか?」
紅葉「緑ちゃん、飛行艦のフィールドに接触した物質はどうなるか、わかる?」
緑「うーん。弾かれる?」
紅葉「フィールドへの接触即原始単位への分解」
緑「分解!?」
紅葉「そう。バラバラなんてものじゃないわよ。文字通り、原始単位の塵になるわ。これはね?フィールドそのものが対物バリアの役割を果たしていることの、ある意味プラス、そしてマイナス要素でもあるわね」
緑「どうやって着陸するんですか!?そんな物騒なもの展開して!」
紅葉「だからぁ、飛行に支障のでない箇所のフィールドを解除すればいいだけ。簡単でしょ?」
緑「なんだか、すごく曖昧な気が……」
紅葉「ちなみにほとんどの飛行艦がミサイルを搭載しない最大の理由がまさにこれ。結界内でミサイル発射してもフィールド内で爆発したら自殺行為にしかならないもんね」
緑「でも、信濃って、ミサイル積んでますよ……ね?」
紅葉「ええ。近衛のメサイア搭載可能の艦は、全部バリバリ積むよ?」
緑「矛盾してません?」
紅葉「緑ちゃん……緑ちゃんの大好きなメサイア、どうやって結界の外へ発進させるか、説明できる?」
緑「えっと、どかーんって……あれ?」
紅葉「そういうこと。フィールドの一部を解除することで、メサイアを外に発進させることもあるのよ。じゃないと、メサイアがフィールドに接触してバラバラだもんね」
緑「メサイアは、艦の方でフィールドを解除して発進させるものなんですね?」
紅葉「半分正解……かな」
緑「え?」
紅葉「やりかたによっては、飛行艦のFGフィールドを無効にすることもできるんだよ?」
緑「どうやって?」
紅葉「これがフィールドっていうか設定っていうか、ま、魔法のいい加減なところだけどね。フィールドと物質が接触した場合のことは話したけど……さて問題です。フィールド同士が接触したらどうなるでしょう」
緑「え、えっと……」
紅葉「ぶっぶー。緑ちゃん、三珍軒ラーメンおごり決定!正解は、フィールド同士が接触すると、飛行艦が戦闘出力出さない限り、彼我の出力の大小を問わず、双方のフィールドが中和されてしまう。だから、飛行艦もメサイアも、魔法騎士でさえ、フィールド接触状態のままでいると、下手すると墜落するんだよ?」
緑「もう、お小遣いないのに(涙)……え?中和?墜落?」
紅葉「そう。フィールドの効果が干渉しあって無効になるの。
効果がなければ意味ないじゃない?
それが中和現象。
だから、魔法騎士やメサイア、ディグなんかは、FGフィールドを展開したままなら、艦へ出入りすることができるという仕組みね。
ただ、戦闘出力、つまり、バリアとして使うことを前提で展開されたフィールドは別よ?飛行艦のフィールドの方が桁外れっていうか、圧倒的にパワーが強いからね。中和しきれないもん。
でも、通常航行の弱いレベルなら、スピードに任せて飛行艦のフィールドを一気に突き破って、再度、自騎(機)のフィールドに頼って飛行するって方法で外に出られるわ。」
緑「そうなんだぁ……」
紅葉「……あのね?今までのこと、座学でやってることだよ?。緑ちゃん?最近、座学で居眠り多くなったって聞いてたけど、殿下のお手つきになったってあのウワサ、本当らしいね?」
(閑話及第)
紅葉「ごめんなさい。マジメにやりますから、その刀しまってください。……だから、みているとわかるけど、飛行艦から発進したメサイアって、発進と同時にかなり落下することがあるんだよ?50メートル位余裕でね。
このとき、フィールドに接触、大破する事故が、メサイア発艦事故の8割を占める」
緑「うわっ、体験したくないなぁ……あれ?」
紅葉「何?」
緑「うん。あの、でもね?フィールド突破がそんな方法で出来るなら、ミサイルにも同じこと、出来ないんですか?対飛行艦兵器としてはかなり有効じゃないかと思うけど」
紅葉「出来なくはないけど、ただ、魔法技術を使い捨ての兵器に使用するのは、費用対効果の面から問題が多いわね。
生産単価が何倍になるのかしら。
それに、たとえば、近衛の場合、対空砲はメサイアコントローラーの管制するML。
設定上もミサイルは避けきれないのが前提だからねぇ……」
緑「じゃ、フィールドを解除した所を狙う位のことしなきゃ、飛行艦へは、ミサイルって効果がないってことですね?」
紅葉「大質量にモノ言わせた攻撃じゃないとね」
緑「そう考えると、フィールドを部分的にでも解除するのとか、フィールドを上半分解除するWLFGって、ある意味危険すぎません?」
紅葉「いいたいことはわかるよ?でも、メサイアに限定してもね?メサイアが何らかのトラブルでフィールドを展開しないままで発艦する事故が発生した時のこと考えて?メサイアといえどもバラバラだよ?緑ちゃん。味わってみたい?」
緑「い、いえ。結構です」
紅葉「カタパルト使わない発艦プロセスは、メサイア側で弱いフィールドを展開した上で、自由落下の後、本格展開が基本だもん。飛行開始数秒してからフィールドが本格展開されるから、トラブルがあったら対処が間に合わないっていうのがあるね。ミサイルとかって、この無防備状態からメサイア、いわば緑ちゃんを守るためのものだよ」
緑「うーん……私、発艦訓練は経験してないんですけど、結構怖そう……」
紅葉「だから私、信濃改良工事の時、フィールド展開の後に発進できる方法、いろいろ盛り込んだから心配しないで」
緑「ありがとう!それなら安心よね!?」
紅葉「うん。……多分(かなり遠い目)」
緑「た、多分?」
紅葉「人体実験してないからわかんないんだぁ。さ。緑ちゃん、お仕事よ」
紅葉、緑の襟首をつかんで引きずり出す。
緑「まっ、まさか!?」
紅葉「電磁カタパルト、すごいよぉ?最大400G。メサイアバラバラ。騎士でもミンチ確定ね。やってみたかったんだぁ」
緑「いっ、いやぁ!まだ番外編にしか登場してないのにぃ!」
飛行艦単体の設定については、「美奈子ちゃんの憂鬱設定Wiki」を参考にして下さい。