登校ーー問答
どうも、蒼山颯馬です。
今回の登校ーー問答は結構短めにしました。
そのせいで場面場面がぶつ切りになってしまったりして拙い文になっていると思いますがご容赦のほど、お願いします。
「まったく、君はいつになったら真面目な優等生に戻るのよ……」
「俺が真面目だった日なんてありませんよ、俺はいつだって落ちこぼれです」
俺は結局、柴神先生のとんでもないお迎えのせいで学校に行くことが確定された。
時刻は11時半。普通なら3時限目の授業の時間帯だ。
こんな時間帯から学校に向かったところで意味なんてないはずなのに、どうして先生は迎えに来たのだろうか。
「柴神先生、どうしてこんな時間に家庭訪問なんてそんなデンジャラスなことしたんですか?そもそもこの時間帯って先生授業持ってましたよね?」
普通ならば、今のこの時間帯は柴神先生は授業中のはずだ。なら、まさか……!?
「そんなの自習にしたわよ。私の授業時間足りてるし。君と違ってみんな真面目な学生なんだから。あとね、君そろそろ単位って言葉を覚えたほうがいいわよ。今君にいちばん足りてない部分。」
こ、このサイコパス教師が……
わざわざ授業ポシャって俺の家まで来たってのか……予想通りというかなんというか……
この先生はこういう所が侮れないくて恐ろしい。
「先生。1つ先生は勘違いをしています。自習で高校生が真面目になるのはテスト前の時ぐらいですよ。」
ま、例外は少なからずいると思うが。
それと、別に単位って言葉は知ってるよ?
ただね、俺は追い込まれてやっと人並みの常識を身につけるからね、今の俺にはちょっとよくわからない。
「ほんとに君はああ言えばこう言うね……まぁ、こうして大人しく付いて来ているんなら、いいのかな」
そう言ってわざとらしく大きなため息をつく柴神先生。
先生の顔をよく見ると目元にクマがあった。
教師の仕事というのは俺が思っているほど甘い世界ではないらしい。
「……………」
俺はこの先生にはぐらかされている事がある。それを聞くために、先生と話す機会がある時は必ず同じ質問をする。
「この会話もう何回めだってぐらい話したと思うんですけど。もう一度聞いていいですか?というか教えてくれるまで聞きますよ」
「あぁ、君とわたしのいつもの問答ね。いいわよ。聞いてあげる」
そして俺はやや低めの声でこう言った。
「なんでまだ見捨てないんですか?」
これは俺がいつもいつも思ってることで願ってる事だ。なぜ見捨てないのか。
俺としてはもう見限られた方がかえって吹っ切れるのに、柴神先生はそうさせてくれない。
すると、長く綺麗な黒髪を靡かせ、柴神先生はこう答えた。
「約束だからよ。彼女との、ね」
この手の質問をすると柴神先生は必ずこの台詞を口にする。
俺はその『彼女』が未だに誰なのかを聞き出せないでいる。
多分それは他の授業をポシャってでも守らなければいけない程の約束なのだろう。
歯がゆい気持ちをぐっと堪えてため息をつく。
「はぁ……いつも通りのテンプレ回答をありがとうございます……まだ教える気にはなりませんか?」
「それも約束だからねぇ。クライアントの個人情報は保護しないと。仮にも聖職者ですから」
「わかりましたよ。今日の所はここまでにしておきます。でもまたいずれ教えてもらいますからね」
気付くと、もう教室の前に着いていた。
「さぁ、今からなら5時限目からなら出れるから頑張ってきなさい!」
バシン、と背中を強く叩く柴神先生。
「いってぇ!?……わかりましたよ……」
先生は気合いを入れるために背中を叩いたんだろうが、俺は現実に戻されたようにかえって憂鬱になってしまった。
「はぁ……最悪だ……」
なんだろう。凄いデジャヴ感。
登校ーー問答はどうでしたでしょうか?
実はこの回は導入するつもりはなかったんですが、『彼女』を早い段階で物語に出したいという個人的な理由で作りました。
次回の舞台は学校になります。十夜の数少ない友人や自称ライバル(?)との絡みがメインとなっていきます。
次回の投稿予定は未定です。申し訳ございません。