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兄妹クリエイターズ  作者: 蒼山 颯馬
第1章
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始まりの昼ーーあるいは遅刻か

どうも、蒼山颯馬です。執筆作業に支障が出てしまいなかなか投稿出来ませんでした。

今回は白崎十夜の人物紹介がメインとなっております。まだまだ駄文ではありますが今後ともひっそりと書いていくつもりでございます。


「なにもしたくない」





朝起きて真っ先に頭に浮かんだ言葉がそれだった。





朝、というのは少々語弊があるな。

なんせ今の日本の時刻は11時を回っているのだから。


もちろん今日は平日だ。



つまり大遅刻である。


大遅刻、なんだが……



別に俺はそんな事なんてどうでも良くなる程なにもしたくなかった。










俺の名前は白崎十夜。16歳、高校1年生だ。


部活もしてない、委員会にも入っていない。

おまけにバイトもしていない。



入学式以降の出席率は最悪と言っていいもので午後登校がほとんどだ。

ここまで言えばわかってくれる人もいると思うが、友達が少ない。





そう、俺はまごう事なき「落ちこぼれ」なのである。


白崎家の大黒柱であるところの母、白崎白蓮は基本放任主義であるためこんな俺を辛うじて容認している。

確かに周りに迷惑は掛けていないのだから何かを言われる筋合いはないだろう。

母はイギリスの外資系金融機関で働いており、家にはまったくと言っていいほど帰ってこない。


母がこうして俺のこの在り方を認めてくれるのも家に帰ってこないのも、全て俺に信頼があるから、と言うわけでは断じてない。多分、信頼を集めているのは妹の方だろう。




俺には今年15歳になる妹がいる。名前は白崎麗奈。麗奈は俺とは真反対の性格で、真面目で几帳面でスポーツ万能でそれでいて勉強もできるときた。


そんな才色兼備である妹の麗奈に母は信頼を置いており、今では白崎家の家事担当なども任せられている。


だが、麗奈と俺はある事件を境に話さなくなってしまっていた。ひとつ屋根の下に2人で住んでいるのに何も会話が起こらない。これほど虚しいものがあるだろうか。


だがそれは仕方の無いことだ。それぐらい俺が犯してしまった罪は重いのだから。




しかし、やる気がないと言ってもそろそろ動かなければいよいよ学生ニートという矛盾の塊に成り果ててしまいそうだ。


そう思い、俺はゆっくり座っていたベットから腰を上げ、のろのろと、1階のリビングへと向かった。







4月下旬。満開に咲き誇っていた桜は段々と葉桜になっていき、世の中もそろそろGWに差し掛かろうとしている今日この頃。気温も夏に近づいているのを感じられるような暑さになっていた。



だが俺の体は多少設定温度が低めに設定されているのか、外に出るにはパーカーを1枚羽織ってちょうど良いらしい。

換気のために窓を開け、大きく深呼吸をする。頭に新鮮な酸素が回り始め、すっきりとした。



テレビを観ようと、リモコンをテーブルに目をやるとそこには俺宛のある封筒が置かれていた。



また塾の勧誘か……




俺はこと学力ならば正直のところ、負ける気がしない。


これは別に麗奈に対抗心を燃やしているとかそういう訳ではまったくない。むしろ、麗奈が俺に対抗心を燃やしていると言った方が的確だろう。




中学の頃はなにもしなくても授業を聞いていれば点数が取れた。特に数学なんかは自分の思考に合っているのかスラスラ解けて気持ちが良かったまである。

定期考査は万年一位。

高校受験でもそれは変わらず、家からの交通費を考えて、偏差値を考えず、一番近い場所にしたせいか、首席で合格した。


そんな首席がこうしてだらけた生活を送っているのだ。この現状を教師が放ってくれるわけがないのもまた事実である。



特に担任の柴神 小咲は一段と口うるさい。


学校に来いだの、真っ当な高校生活を過ごせだの、食生活に乱れはないかとかもうお前は俺の母親かってツッコミを入れたい。

最近はそれが悪化して家庭訪問にもくる。全く、いい加減にして欲しいものだ。



だかまぁ、そんなに面倒見てくれるのも、俺の学力が目当てであって俺個人にはさして興味がないのだろう。




だから俺は塾なんて行く必要が無いのだ。これでも行けと思うなら、それは俺に時間と金を無駄にしろと言っているようなものである。

塾の勧誘のチラシで器用とはとてもいえない手つきで紙ヒコーキを作り、2メートルぐらい先のゴミ箱に向かって飛ばす。紙ヒコーキは見事にゴミ箱の中に入った。


俺はこんな退屈でつまらない日常を過ごしている。つまらないなんてものじゃない。生きてるように感じないのだ。ただ飲み食いだけして、ひたすら各業界のコンテンツを漁るこんな毎日を最初はとても楽しんでいた。


こんな俺でも楽しいという感情が生まれたのだ。だが2週間が経った今は死んだ目をしながらそれをくりかえしている。


それがどれだけ虚しいか、寂しさに満ちているかは言うまでもない。だが、これは俺が決めた「生き方」だ。誰にも干渉されたくないし、誰かにとやかく言われる筋合いはない。






それもただの詭弁に過ぎないが。










ピンポーン



俺しかいない白崎家に戦いの鐘とでも言うようなチャイムが鳴り響いた。多分柴神先生だろう。


もちろん言うまでもなく、俺は居留守を発動する。だって面倒だからな。

すると、チャイムは1回で鳴り止んでしまった。

ん……?おかしいな。いつもならここから地獄のようなチャイムデスマーチが始まるのだが。





チャイムの余韻とともに再び静まり返る白崎家。




だが途端、



ダンダンダンダン!

ピンポーンピンポンピンポンピンピンピンピンポーンpipippippiピンポーン!




ドアの叩く音と同時にチャイムの騒音が嫌な感じにシンクロして、ある種のデスマーチが白崎家の玄関でゲリラライブを起こしている。




一瞬でも期待した俺が馬鹿だったよ!!








急いで自分の部屋に戻り、窓から玄関を覗く。すると我が白崎家の玄関に凍てつく様なオーラを放つ柴神先生が立っていた。




「ひいっ……」



そして静かに、カーテン越しの俺を睨みつけていた。

恐らく、もうバレているだろう。

こうなってしまってはもう仕方ない。

俺は急いで学校の支度をして、玄関に向かった。







「あぁ……最悪だ……」


始まりの昼ーーあるいは遅刻か、どうでしたでしょうか。ここからどういう風に「兄妹クリエイターズ」というタイトルが関わるようになるのか、皆様にわかりやすく、物語を進められるよう、善処してまいります。

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