第1話
大国列強の中でも一番の経済国であり商業が盛んな国『エッダ』
国の中心に立派な城が建っており、そこから輪を描くように商店が並んでいる
中央周辺には貴族御用立ちの品々が並べられ、静寂で気品に満ちた店が軒をつらねる
中心部から離れるほどに庶民性に溢れ活気に満ちた市場が増えていく
取り扱う品は種類に富み、生活する上での必要品など、家から10分も歩けば大抵手に入る
仕事をするにも事欠かず、どこにいってもその盛況ぶりのために人手不足、顔合わせもそこそこに即採用である
住む上で不便なことなど、人が多いこと位のものだ
なんて評されていたのはいったい何十年前だっただろうか
日照りによる干ばつ、冷夏による作物の不調、長い長い大雨、頻発する地震や竜巻、、、
たった3,4年の天変地異により、農作物の流通は壊滅した
皆自分の食い物に困り、よそへ出し金にする余裕がなくなってしまった
エッダは商業の盛んな国であるが、自国での農耕はまったく行っていなかった
食料品はすべて他国からの輸入品でまかなっていた
大量の市民を有するエッダ故に、真っ先に自国民の食料をまかなうことができなくなる
食事もままならなくなった市民は、このままでは餓死してしまうとそれぞれ地方の農村などに移住することになったのだった
今では廃墟寸前の建物ばかりが並ぶ、国土だけは広い寂れた国になってしまったのだった