プログラム:7 《ルールに従え》
ここから悲しくなってくるかも知れないです…。
「おいっ!何する気だよ坂野っ!!」
あたしたちが校舎についたときに、結城の焦った声を聞いた。
「だから言っただろっ?!俺が証明してやるっ!!こんなものっ!!」
坂野は封筒をピラリと見せて、そして狂ったように叫びだした。
「俺はゲームなんてしてやるもんかっ!!
俺は帰りたい!帰りたいんだよぉぉっっ!!」
叫びに叫んで坂野は校舎を開けた。
…そう。開けてしまったのだ。
ルールを、
破った…。
校舎の扉を開けたとたん、
坂野の身体は炎に包まれた。
「ああああああああああああああっっっっ!!!!」
坂野は恐ろしいほどの恐怖に負けて、大きく声を張り上げた。
悪魔だ。
悪魔の仕業だ。
悪魔は本当にいた。
あたしたちは、この目で見てしまった。
坂野の燃える姿を。
あたしたちは目を大きくした。
結城は魂を抜き取られたかのように目を広げて、
ポカンと立ち尽くしていた。
「あああぁぁぁ…?!!?!」
坂野の声は途切れた。
力なく途切れた。
悪魔に殺された。
悪魔を拒んだ坂野を、悪魔が殺しにやってきたのだ。
ゲェムの恐ろしさを、
あたしたちは今ごろ知ることになってしまった…。
恐怖がこみ上げてくる。
怖い、怖い…。
どうして?
どうしてこんなことをするの?
やめてよ…やめてよ…。
どうしてそんなにも残酷なんだい?
悪魔。
悪魔。
お前は人を殺すためにいるのか?
あたしたちを試すためにいるのか?
ただ単に遊んでいるだけなのか?
そんなの、
許せない…。
人を殺す必要はあるか?!
悪魔を拒んだ人間を
何故悲しく燃やすんだ。
ピラリッ…。
あたしの足元に黒く燃えた封筒が落ちてきた。
あたしがそれを軽くつまんで顔のほうへとやると、
『サカノショウタ・ゲームオーバー』
と、黒くなった封筒の表に燃えてない部分でこう書かれていた。
坂野は燃えた。
坂野は
悪魔に殺された。
いまあたしたちの前には
炭になった坂野と、
坂野の似合わなくなった黒ぶち眼鏡が
僅かな音を立てて転がっていた。