プログラム:6 《壊すのがすきなんだね?》
「ねぇ、あと少ししか時間が無いでしょう?急いで隠れる場所を決めないと…。」
だんまりした空気のなかに、学年委員長の宮坂ハルナが割り込んできた。
宮坂さんはとてもリーダーシップな人で、
皆をまとめるのには最適だ、ということで学年委員長に推薦され、
立候補者の多い中、見事学年委員長になった。
いつも沈着冷静な彼女も、
やはり声が震えていた。
それほど怖いのだ。
このゲェムは。
きっと人を恐怖にさせることが好きなんだ。
悪魔は。
あたしは負けたくないと思った。
そんな悪魔になんか
負けてたまるか!
…そう、思った。
「でも何処に隠れるっているんだよ!」
ちょっと怒れ気味の坂野翔太の声にふと我に返った。
いつもは似合う黒ぶち眼鏡も、
今回だけは壊れたように似合うことが無かった。
「そんなの、自分で見つけなきゃ意味ないでしょ?!
それともなに?あなた一番最初にここからいなくなりたいわけっ??!」
とうとう宮坂さんも限度を超えてしまったようだ。
二人は言い争いを続ける。
「そんな風には言ってないだろ?!
こんな何処にでもある学校の何処に、隠れる場所があるんだって聞いてるんだよっっ!!」
「知らないわよそんなの!!自分で探したらどうっ?!」
いつもは冷静でクールな二人は、今日は全部それが乱れていた。
「っるせえよ!
探す以前に隠れるとこなんてないっつってんだよっ!!」
あぁもう…。誰かとめてよぉぉ…。
「なかったらこんなものこないわよっ!!」
宮坂さんは赤い封筒を坂野の前に突き出す。
「何だよお前、そんなもの本気で信じてんのかっ?!
はっ!学年委員長も意外と女々しいもんだねぇっ!!
俺は信じねぇよこんなもん!!
俺が嘘だって教えてやるよっ!こんな手紙っ!!」
そう言って坂野は走り出した。
似合わなくなった黒ぶち眼鏡をかけて…。
「ちょ、ちょっと待てよ坂野っ!!」
坂野の親友の結城は、慌てて坂野を呼び止めたが、
坂野の耳には結城の言葉は入らなかったみたいだ。
坂野は後ろを振り向かず、素早く校舎のほうへ走っていった。
「待てって坂野っ!!」
結城は焦って坂野の後を追いかけた。
その後に、静香ちゃん、美富、佐々木…
とあたしのクラスの全員が坂野と結城の後を追っていった。
もちろん、いままで怒鳴り声を上げていた宮坂さんも…