表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/40

プログラム:5 《互いを安心させる、思いやり》


「…いまは9時…。ゲェムが始まるまであと3時間…。」

震えた声を振り絞って、畑山由樹(はたけやまゆき)は呟いた。


由樹はいつもは明るいはずのあたしの親友。

いまの由樹は、

まるで別人のように思えた。


「他のクラスにも、この封筒は置いてあったみたいだ。

ちょっと気になるのが、他のクラスの封筒は、

こんな風に赤くは無かった。

手紙のほうは赤かったみたいだけど。」

ピラリと他のクラスから拝借してきた封筒を、山中結城(やまなかゆうき)は出した。



彼は学校一の情報網人物。知らない情報は無いとかの話…。


…いままで気にもしてなかったけど、

良く考えたらうちのクラスってすごい人ばっかいるんだね…。


今ごろ気づくあたしって、なんか鈍すぎかもしれないわ…。




「…内容は同じですぅ〜。」まったりした口調で松本静香(まつもとしずか)は言った。

静香ちゃんは、クラスの和みマスコットで、いろんな意味で人気者。


結城の彼女って噂があるらしいけど…。そーゆーのはあたしはあんまし気にしないほうだ。


「うわっ!まじかよ〜。俺らのほかにも参加させられたのかよっ!!」

この男っぽい口調は、柳田美富(やなぎだみとみ)

性別上では女であるが、喧嘩っ早い。

男気のある姉御肌(あねごはだ)な子だ。


彼女の大きいリアクションと大きな声に、

あたしたちは数秒ぽかんとして口を開けていた。


しかし一人、

カッカッと美富に向けて笑っていた人物がいた。


「はっはっは!柳田、

お前こんな状況でもリアクションでけぇの!!

少しは女らしくしろってぇ〜♪」

こいつもかなり声がでかい。

あたしの耳がどうにかなりそうで、

いろんな意味で怖い。


この声の主は、佐々木抹(ささきまつ)

美富の幼馴染で、

とても陽気で明るい性格(吉島とは違う意味で明るいのだ!)


身体はでかいくせに、喧嘩はあんまししたくないんだって。

(平和第一主義者らしい…。)


だから、毎回美富の喧嘩を止めるのは、

図体のでかい幼馴染のこいつなのだ。



「るせ〜よ。デカマツ。」

ムッとして美富は佐々木に言い返してきた。









あたしは今ごろ気がついた。



学校の中に閉じ込められた奴らみんな、

みんなこのゲームを怖がってるんだ。


だから、

だから互いに安心させようと無理して明るい話をしているんだ。




あたしはぜんぜん分からなかった。




あたし馬鹿すぎだよ。



何でこんなにも簡単で、

一番重要なものに気がつかなかったの?




まるで、あたしが悪魔みたいで

嫌な気分になっちゃうよ…。



あたしは一人、

心の中でひっそりとうなだれた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ