プログラム:4 《僕らは血の繋がってない兄弟みたいだね》
「こ、この手紙は…いつ見つけたの…?」
震えた唇が開いてやっと声が出てきた。
でも、その声は小さくて、震えていた。
「…俺が教室の教卓で見つけた…」
一人の男子が小さく手をあげていった。
あいつはたしか、
いつも教室に一番に来るやつ。
あの、必ずクラスに一人はいる目立たないやつ。
でも、良くみたらかっこいい顔が多いんだよ。
だって、こいつだってそうだし。
名前は金沢春人。
机には必ず分厚い本が置いてある席が、春人の席だと覚えていた。
それと、実はこいつ、
雅之の親友なんだ。
結構合うコンビみたいだけどね。
「う〜ん…誰かの悪戯かなぁ〜?」
少し明るい声が聞こえた。
その声の男は吉島尚人。
普段はかなり明るい、
正直言うとウザイ奴だ。
髪は寝癖みたいな髪型で
ボウボウしていて
(本人はファッションだって言ってるけど)
金髪に近い色。
先生達のブラックリストに
絶対入っていそうな人物である。
「尚人、この言葉を知ってる?聞いて極楽見て地獄。
聞いてるだけじゃあなんだか楽に思えるけど、
実際には地獄のようなものなんだって言うこと。」
この声は双子の妹、井上ノゾミ。
成績優秀。学年2位を誇る、
頭のいい黒髪のかっこいい女の子。
「やだなぁ、尚人がそんな言葉を知ってるわけ無いじゃないか。ノゾミ。
尚人にはこう言ったほうが分かりやすいよ。
いいかい尚人、
もしこれが尚人のやっているゲームだとすれば、
尚人は一番最初に殺されるキャラクターってことだよ。」
この声は双子の兄、井上ノゾム。
こちらも成績優秀。
学年1位を誇っている。
頭のいい同じく黒髪の毒舌の男の子。
「っるせぇっ!!」
仲の悪いようにみえるこの3人、
実は大の仲良し。
親友だ。
ホント性格が合う、こいつら。
ぜんぜん住んでる世界が違うように見えるのに…。
そんな笑いを出していたこいつらの瞳も、
やっぱり恐怖でわずかに震えていた。
あたしって、
変なところで観察力がすごいって言われてるんだけど、
こういうことかぁ〜。
きっとこいつらは、怖いのを誤魔化そうとしてるんだ。
だから互いに笑い合おうとしてる。
あたしにはそんなことしか分かんなかった。
知らないうちに、
震えが止まらない手で
雅之の制服の袖を掴んでいた。
雅之はちらりとあたしを見て、
微かに苦笑した
…ように見えた。
でも、
それがとても温かく感じられた…。