表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/40

プログラム:39 《大切だから、怪しく感じるの?》


ギュッ・・・


「わっ!!?なんや坂浦!!」


陽立が急に大声を出して、あたしは我に返った。


どうやら、陽立の服の裾を引っ張ってしまったようだ。




無理もない

あんなこと思い出したら、誰かに縋りたくなる。

まぁ、運悪くこいつに縋ってしまったようだけど。






「あ、ごめん。」


パッと放し、素っ気無く返答すると、陽立はあたしの顔を覗き込んだ。




「おいお前、顔色悪いで?ちょっと休んだらどうや?」


「大丈夫ですよーだ。あんたに心配されなくても、休みたくなったら休むわよ!」


「な、なんやとっ??!せっかく人が心配してやってるっちゅうに、それはないやろ!!?」


「だから、大丈夫だっていってんでしょうがっ!!」




「おい、二人とも。」


あたしと陽立の口げんかを、雅之が手で制した。





「そこで休もう。ずっと歩いてたって、きりがない。それに、体力には余裕を持っていたほうがいい。」

そう言って、職員室を指差した。


いつの間にか、元の場所に戻ってきていたらしい。


あたしはうつむいて、陽立はつーんとしながら、職員室に入った。




「しつれいしまーす。」

職員室には、人はあまりいなかった。


みんな、どこかに行ったみたいに。





そして雅之は、目を大きくあけて、叫ぶように人の名を呼んだ。


「春人!!!」

名を呼ばれた本人は、こちらを見て、ホッとしたようにほほ笑んだ。




そんな彼に、雅之は駆け寄った。

「良かった、無事だったんだな・・・。」



雅之は春人の肩に手をおき、安心したように笑った。





「雅之の俺とあいつに対するあの態度の変わりよう、気にいらへんなぁ。」


一人ふてくされている奴は放って置くことにして、あたしたちはゆっくりと二人に駆け寄った。


「雅之・・・俺、俺・・・宮坂さんとはぐれちゃったんだ・・・」


春人の顔が強張っている。


でも、雅之は落ち着いた様子で



「大丈夫だよ、宮坂さんならきっと、どこか安全なところに隠れてるに決まってるさ」



あるわけもない事を述べていた。



宮坂さんは、普段の宮坂さんじゃない。


爆発状態の宮坂さんが、一人でどこかに隠れるなんて、不可能に近いだろう。







だめだ、雅之には今、春人しか見えていない。


周りの人が見えなくなるぐらいに、そいつが大切なの?


雅之・・・。




「春人、俺と一緒に行こう。一緒に、隠れる場所探して、隠れよう。」








あたしの知らない、雅之だった・・・。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ