プログラム:33 《冗談に聞こえないよ。怪しい匂いがする》
「・・・なんか、嫌な感じがする・・・。」
二人が見えなくなる前に、雅之がぼそりと言った。
「?嫌な感じ・・・?」
あたしが聞くと、雅之はこくりとうなずいて歩いた。
「付いていこう。陽立が心配だ。」
雅之が陽立を心配・・・?!
ある意味事件だ!!
「・・・話して、なんですか?古林センセ?」
いまわたし達がいるのは、陽立と先生がいる教室のすぐ隣り。
壁に耳を寄せて静かに身を潜めている。
「陽立くん、わたしね、やっぱり、そういうのって良くないと思うの!」
「・・・は?なにがですか・・・?」
陽立はサッパリ分かっていないご様子で。
「だから、男の友情ってのも良いけど、今の時期は青春なのよ!」
「・・・センセ、熱でもあるんじゃないですか?」
同意権です、あたしも・・・。
「やぁねぇー熱なんてないわよ!陽立くんには青春が足りないのよ、青春が!」
「え、いや、まったくセンセの意見についていけないです。雅之んとこに戻らせてもらって良いですか?」
「ほらぁ、例えば坂浦サンとか!」
・・・先生・・・何故あたしの名前を出すんですか・・・。
「いや、それは絶対ありえないです!」
・・・いい言われようじゃねぇかコラ(怒)
そのほうが嬉しいが・・・。
「・・・フフ・・・そういうとこも・・・可愛げがあるのよねぇ陽立クンは☆」
「・・・・・・そういうアナタもですね、センセ。」
・・・?まったく話についていけない・・・なにを話しているんだ?
「きみったら、ここはいってからも誰にも甘えようとしないから、先生苛めたくなったりするのよぅ♪」
「・・・センセはSですか?俺はMになったつもりは無いですが。」
「あはは♪嘘嘘☆・・・・・・・・・ねぇ・・・・・・陽立くん・・・・・・」
急に・・・先生の声が低くなった気がした・・・。
「なんですか?」
陽立は動ずることなく聞く。
「・・・・・・・・・・・赤は・・・・お好きかしら?」
―え?
「・・・・・・・・・・・・・・・佐々木や美富を紅くしたように、俺も殺す気ですか?古林センセ・・・・や、鬼サン?」
――――??!
古林先生が・・・鬼?!?!
あたしは肩が震えた。
雅之と由樹は目を見開いている。
「?!!――なにを言ってるのよ・・・わたしが・・・鬼?そんなわけないじゃない!」
「なにを言ってるって・・・そんなの自分自身で分かってるはずじゃないですか。」
「佐々木や美富を騙せたとしても、俺はそう簡単に騙されませんよ。言ったでしょう?」
「俺、頭は良いですから・・・・・。」
その言葉は、途切れた。
「ぁァァア゛ァ゛ァぁア゛あ゛あああ゛ァァァアア゛あ゛ア゛――――――!!!!!!!!」
誰の叫び声かもわからない。
陽立?
それとも・・・・・・
「ワ゛タシハ鬼゛ッッ!!!ミツカッタ鬼ッッ!!サァ、残リハ・・・・・・・アト何体デッショウ????!!」
そこで、『鬼』の言葉は消えていった。
「―俺に優しくしたのが間違いでしたネ、センセ♪」