プログラム:32 《これは必然だ》
いま、どこら辺を走っているんだろう・・・。
雅之の足が速すぎて、付いていけそうにない。
由樹のペースにあわせるあたしと雅之の間は、2mぐらい開いてしまっていた。
そして次の曲がり道、あいつに会った。
「わっ!!」
雅之は尻餅をつく。
そして相手も尻餅をついてようで、怒鳴ってきた。
「どこ見てあるいとんねんッッ!!前見て歩き・・・雅之?!」
そいつは陽立だ。雅之を見て驚いている。
「あれ?祐介?」
雅之はポカンと陽立を見る。
陽立の目は光っている。
「雅之ぃぃぃいいぃぃい!!!!」
ガシィッと雅之に抱きついて陽立たちに、ようやく追いついたあたしたちは、思いっきり冷たい目で二人を見つめていた(と思う)
「・・・ゲ、坂浦に畑山・・・。」
陽立は雅之にしがみついていた手を離して、不機嫌そうにこちらを見る。
「なによ、ゲッて!」
あたしは睨む。
そう、こいつ・・・陽立の本性、それは・・・。
「邪魔もん来たら、そら言うわ!いいムードやったんに!!」
極度の雅之好きのホモ、だった。
人は見かけによらないとは、こういうことを言うんだよね。
雅之は勿論、他の皆だってそんなこと知らない。
何故か勘のいいあたしだけがわかってしまっている(本人から口止め中)
「いいムードになってたまるもんですか!!」
あたしと陽立は口喧嘩仲間(?)。
会えばどこだろうと口喧嘩になる。
「なんやと!?そらどういう意味やねん!!」
「そういう意味ですぅ〜!」
由樹と雅之はポカンとあたしたちの口げんかを聞いている。
そこに、誰かが割り込んできた。
「喧嘩するほど仲が良いって言うのよねぇ〜♪」
『うっわ!!』
古林先生だ!
あたしたちは声を合わせて驚く。
「二人とも、とっても仲がいいのねぇ〜♪」
『全然良くないっっ!!』
声がそろってしまうのも、これまたムカつくぞ。
「そんな隠さなくたって良いのに〜。感動の再開の途中で悪いんだけど、陽立くん借りてって良いかしら?」
感動の再開ってわけでもないんだけどね・・・。
「全然良いです!焼くなり煮るなりしてくださいっ!!」
あたしは陽立をズイッと押し出す。
「はぁ?!焼くなり煮るなりってどういう意味だよ!!」
陽立は先生の前だろうと口調が荒い。
(まぁ、いつものことなんだけどね。)
「・・・チッ・・・。で、先生、宿題なら持って来てないって、さっき言いましたよね?」
陽立は先生の方に向き直って、何かを確かめるような感じで聞いた。
「やだぁ〜なに言ってるの、陽立くん!宿題だなんて、こんなときに・・・!」
先生はそう笑って、陽立を掴んで行ってしまった。