プログラム:31 《ムシャクシャしてしょうがない…》
あいつはどこに行った?
そんな遠くに行ってるはずがないのに・・・。
廊下をいくら走っても、あいつの姿なんて見えやしない・・・。
クソッ!!
俺は廊下を蹴るように突き進んでいく。
階段を上がって、何回も何回も行ったり来たりする。
あいつの姿は、それから5分ぐらいしてからやっと見つけられた。
「柳田!」俺はあいつの名前を呼ぶ。
でも、あいつから声が返ってくることは無い。
―どうして?
「柳田!!」
もう一度呼んで、あいつの近くに駆け寄る。
そこは教室だ。
真ん中のギシギシいう教室。
真っ黒なカーテンが光をさえぎり、そこは真っ暗で、全てが違うようにも見える。
「・・・あ・・・?」
違う。
これは、柳田じゃない・・・!!
気付いたときには遅かった。
俺は、後ろから誰かに襲われる。
「!!?」
幸い、刃物を刺されたような感覚はなかった。
「誰だよっ!!」
思い切って後ろを振り返ると、そこには
「あ、ごめんなさい佐々木くん!わたし・・・てっきり鬼かと思って・・・。」
古林先生だった・・・。
「せ、先生?・・・お、俺こそすいませんでした・・・。」
俺は後ろに身を退きながら、軽く謝った。
先生は微笑する。
「ごめんね、わたし、このゲームが怖くて・・・つい・・・。」
先生はオドオドしながら俺に話す。
「い、いえ、怖いのはあたりまえっすよ。こんなのに巻き込まれたら誰だって。」
俺は苦笑して、急いでその場から立ち去ろうとした。
しかし
「・・・どこ行くの、佐々木くん?」
先生に止められた。
「・・・柳田を・・・探しに行くんです。」
俺は正直に答える。
すると、先生は首をかしげる。
「美富ちゃんを?そういえば、一緒じゃなかったのね。」
「え、ええ・・・。」
俺はあくまでも苦笑だ。
苦手なんだよなぁ・・・。
この人・・・。
「・・・ねぇ、佐々木くん。」
先生は笑う。
「―ハイ・・・?」
そのとたん、俺の首筋に冷たい感覚が走った・・・―。