プログラム:30 《ボクニ黒イ血ガ流レルヨウニ》
「ねぇ、いま何時かな・・・。」
隣りにいる由樹に、あたしは聞く。
ここに時計があるようには思えない。
あったとしても、きっと狂ってる。
「・・・もう、ゲームが開始してから2時間たってる・・・。いつまで隠れていればいいの?まさか、悪魔を見つけるまで?!」
由樹は腕時計で時間を確認して、肩を震わす。
「・・・わかんない。」
あたしは、安心させる言葉を伝えることが出来ない。
一緒に震えるしか、出来ない・・・。
「・・・そろそろ、出ようか。」
雅之が呟く。
あたしと由樹は目を開く。
「え・・・?!」
まさか、雅之がそんなことを言うなんて・・・。
「春人が来ない。鬼に見つかったのかもしれない・・・。それに俺らだって、ずっとここに居てもしょうがないじゃないか。」
「それは・・・そうだけど・・・。」
「俺達で、悪魔を見つけてやろうぜ!」
雅之は精一杯の笑みを見せる。
そんなことされると、
断れない。
「・・・うん、そうだね・・・。」
「奏?!」
由樹はオドオドとしながらあたしの服の裾をつかむ。
「大丈夫だよ由樹。一緒に悪魔を見つけて、早くこんなゲームを止めさせよう?」
「・・・・・・ぅ・・ん・・・。」
由樹は相変わらず青ざめている。
あたしは、これ以上何も言えなかったけど、
由樹の手を、ヒシッと握っていた。
ァ、動き出した。
ゲェムの駒が、やっと動き出した。
見つけてごらん。
この僕を。
僕は紅黒い駒で、キミ達は真っ白の駒ダョ♪