プログラム:2 《白い紙に赤い絵の具》
「…あれ?なんで今日はこんなにも静かなの?」
最初に校舎に入って不自然なことに気がついたのはあたしだった。
どう考えてもおかしかった。
いつもは響いている先生の声も、
鬼のような先生から逃げる男子生徒たちの声も、
今日は寂しいことに聞こえてはこなかったのだ。
「きょ、きょう休みじゃなかったよね?!」
焦りながら聞くあたしに、雅之は一言言った。
「うん。」
…なんか、とても家に帰りたくなってきた…。
なんか怖くなったあたしは、
同じクラスの親友、由樹の下駄箱を覗いた。
「あ、ある…」
由樹の外履きは確かにあった。
少しだけ安心したけど、やっぱり怖かった。
「由樹っ!おっはよぉ〜!!」
なるべく明るめに振舞って、あたしは教室に入った。
雅之は静かにあたしに続いて入ってきた。
「あ、奏…。おはょ…。」
由樹の声はすぐに消えていった。
なんだか、不安が増した感じがする。
「ど、どうしたの?由樹っ!そんな暗い顔して!!」
ニコニコと作り笑いするあたしも、
そろそろ限界を達していた。
教室には、あたしと、由樹と、雅之と、
他男子6名と女子4名がいた。
クラスの半分もいない…。
みんな浮かない表情をしていた。
「朝きたら、こ、こんな手紙が…」
由樹は青ざめた表情をして、あたしに一枚の手紙を渡した。
その手紙は、
白い封筒に無理矢理赤い色の絵の具を塗ったような、
気味の悪い赤い色をしていた。
あまり触りたくは無かったのだが、頑張って封筒を静かに開いた。
そして、一つの手紙を出した。
その手紙も、
白に赤が塗らされていた紙だった。
その手紙には、こんなことが書かれていたのだった。