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プログラム:28 《今回だけだぞ 二度目はねぇからな》



その子が中学に上がるその日、二人の男女に出会った。








その子が中学に入って、誰とも接しなくなったころだ。








その子が図書室で静かに本を読んでいて、その子の周りには一人も人が近寄っていなかった。






「隣り、良い?」


その子のとなりに一人の男の子が座った。


男の子の隣に、その男の子と同じ顔の女の子が座った。


二人とも眼鏡をしている。



双子だ。その子はそう思った。








自分みたいな目立つものが近くにいては悪いと思い、席を立とうとした。


すると、女の子が聞いた。



「あら、行っちゃうの?」

その声に、その子は言い返す。



「俺みたいなやつが近くにいないほうがいいだろ?」


男の子が一言言った。



「静かで良い。」

それに、その子は黙って、またその席に座って、大きな本で自分の顔を覆った。



いつの間にか流れてきた涙を、見せないように。































「ノゾム、図書室行こうぜ!」

その子は元気になっていた。

前までの彼とは、かなりの違いだ。


「もちろん。一日に三回は行かなきゃいけないからね。」


「なっがっ!」その子は突っ込む。


「私は五回。」女の子は冷静に言う。


「いや、だからながいってっ!」

その子たちは笑っていた。


その子は、“居場所”を見つけることが出来たらしい。


凄く嬉しそうだった。











“その子”は目を開けた。


いつの間にか、俺は眠っていたらしい。


階段で居眠りかよ。かっこわりぃ。









尚人は階段から移動しようと、立ち上がった。


「あ、尚人。」声が聞こえた。ノゾムの声だった。



尚人は少し機嫌ナナメのように振舞おうとして、ノゾムの声がした方に目だけを動かした。


しかし、いつの間にか顔ごと声のほうへ向いていて、口が開いた。





「―だ、誰だよ・・・お前・・・?」尚人は驚いた。



「え?なにいってんの?」

その声は確かにノゾムだ。


しかし、『その姿』は、ノゾムたちのものではなかった。



「な、んでノゾムの声を・・・。」

尚人は後退く。身体が妙に震える。


「・・・僕は、ノゾムじゃないか。」


「ち、ちがうっ!お前は、ノゾムじゃない!」

尚人は、自分の方によってくるノゾムたちから、一生懸命逃げようとしていた。しかし、


「・・・ナオト・・・僕ハ・・・ノゾムダヨォォォォオオォオォォ????!?!?!!!」



?!なんだっ?!



尚人は動揺を隠し切れない。誰なんだ、こいつは!!鬼か?鬼なのか?!


「お前は、鬼なのか?!」



「チ、ッガウ・・・!!僕ハノゾム。キミヲ殺シニキテヤッタンジャナイカ!!!ナオトッッ!!!!!!」


よく見ると、自称ノゾムの右手には、鉈が強く握り締められていた。






どうして?!



ノゾムは急いで階段を駆け上がっていった。



こんなところで・・・殺されたくなんかないっっ!!!








「わあぁぁぁぁあー!!」


目を強くつぶって、走れるだけ走っていった。




ノゾムでもないのに・・・。


どうして・・・ノゾムの声が・・・?


後ろは振り返りたくなかった。






だって、スグ後ロニイルカモシレナイカラ・・・・・・

































「ぁあああー!!」


声ばかり出して、足には全く力が入らない・・・。





どうしよう・・・!!


そう焦っていると、あいつらにあった。










「・・・!なお、と?なにしてるんだ、そんな声出して・・・」

こいつは、本物だ・・・。

尚人は多少ホッとした。しかし、すぐに我に返った。




「逃げろっ!!鬼だ、あれは鬼だっっ!!!」



「鬼?!」ノゾミの顔が青ざめる。




「よ、よし、行こう、ノゾミ、尚人!」

ノゾムが尚人の名前を呼んでくれた。でも尚人は、それに甘えようとはしなかった。



「嫌だ。俺は、お前らなんかとは行かない。」


「・・・は?なにを言い出すんだ?」ノゾムは目をパッチリと開ける。


「お前らがいると足手まといになるからな。俺は一人で行動するぜ。」


それに、ノゾムはカチンと来た。



「・・・なら、一人で行動すれば良いさ。僕らは、先行くよ。行こ、ノゾミ。」

ノゾムはノゾミを呼んで、さっさと行ってしまった。尚人は、唾をごくりと飲み込んだ。












「・・・まいったな・・・。」

尚人は、廊下の壁に背中を当て、崩れ落ちるように床に座った。



「・・・俺のほうが足手まといになるじゃん・・・。」背中から変な汗が吹き出ていても、もう尚人は気にしなかった。


「さぁて、少しは、足止めになんだろ。俺だって、やるときはやる男なのさ。」

そう言うと、また立ち上がった。
















そして、『その姿』は現れた。




「ミツケタ・・・。僕ト一緒ニ死ノウ?ナオト・・・。」


『その姿』は、床のタイルを鉈でギーギー音をだしながら、傷つける。


「嫌だね。偽者ノゾムとは、死にたくない!」

アッカンベーと尚人は、『その姿』を挑発した。


「ソッカ・・・。ジャアナオト、僕ノタメニ・・・死ンデ!」



「・・・ごめん・・・ノゾム、ノゾ、ミ・・・・・・」



そう呟くと、『その姿』は、尚人の真上に鉈を振り下ろした・・・。














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