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プログラム:24 《僕らは 一人じゃないよ》












『ゴォォォォォン・・・・・・。』


軋むような鐘の音が、スピーカーから流れた。







これが、きっとゲェム開始の合図なのだ。

皆は・・・隠れ場所を探せたのかな・・・。



あたしは、そんな不安と心配を頭に浮かばせながら、目を閉じた。






















「ねぇ奏・・・。」

少しして親友のかけて来た声に、あたしは重い瞼を開けた。




「ん?なぁに?」

なるべく心配をかけさせないように気を使って、あたしは聞いた。


「…私たち、鬼に見つかって殺されちゃうのかな・・・。」

由樹は青ざめた顔を、あたしに向けた。その顔を、あたしはまともに見ることは出来なかった。




「・・・・・・。そんなことない。こんなところ、誰も気がつかないよッ!!」

出来るだけ精一杯な笑顔を見せて、由樹を安心させようとした。


でも由樹は、あたしのそんな気づかいにちっとも気が付いてくれなかった。




「・・・私、私死にたくない・・・!死にたくないよっ・・・!!」

由樹の瞳は、今にも雫が零れそうで、とても怖かった。


その雫を見ると、あたしは何も言えなくなってしまった。







「・・・大丈夫、きっと勝てる・・・。」そう呟いて、私は雅之の顔を伺った。




雅之は目を瞑っている。



そして、うなされている。












「・・・雅之?」







雅之は目をあけた。


目を開けるまでに、かなり時間がかかったと思う。




「・・・・・・あ、奏、どうしたの?」

雅之は目を擦ってあたしに聞いてきた。


「うなされてたよ。」

小さく言う。雅之は深くため息をついた。


「そっか。嫌だなぁ、こんなときにうなされるなんて。縁起でもない。」

そう言って苦笑していた。



「ほんと!」

あたしも苦笑して雅之を見つめた。











雅之の心配は自分自身への無理でもある、縛りでもある。


それはあたしだって一緒だ。





でもそれを、お互いに気付き合えている。


それはそれでなんだか特別だと、あたしはかすかに思っていた。


















ねぇ悪魔、あたしたちは、あたしたちはね。


あなたとは違うんだ。




当たり前だろうケド、あなたはあたしたちを見縊(みくび)り過ぎたみたいだよ。




悪魔、あたしたちは【(ヒトリ)】ではないんだ。


信頼できる人が、優しく受け止めてくれる仲間が、傍にいるから。


それが、それが裏切りとなるなんて、








このときは誰も思いもしなかった、けれどね・・・。















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