プログラム:18 《僕は 何もしてあげられなかっタ》
「ゆうちゃん、どこに行こうとしてるの?」
静香は甘えた口調で、隣りで歩いている結城に話し掛けた。
「・・・」
結城はさっきから黙りっぱなしで、学校の地図に目を光らせている。
「ゆうちゃんっ!!!」
静香の聴いたことのない大きな声に、結城はハッと驚いた。
「え、あ、ど、どうした?静香…。」
冷や汗をかきながら、結城は静香に聞いた。
「どこに行こうとしてるのって聞いてるのっ!!」
静香はまるでヒステリックにでもなったかのように怒鳴りながら結城に叫んだ。
「か、隠れ場所を探しているんだ…!」
結城は静香の声に圧倒されながらも言った。
「…そぅ…。」
そこでまた沈黙が続いた。
「…ゆうちゃん、ゆうちゃんは悪魔を信じる??」
この質問だけは、今度は結城にはきちんと聞こえていた。
「…ど、どうしたんだ?静香が悪魔なんて言葉を言うなんて…。」
悪魔を信じる??
そんな質問、初めて聞いた。
信じるも信じないも、あの出来事をこの目で見てしまったのだ。
信じない、といったら嘘になる。
「…信じない、って言ったら嘘になる。」
その言葉に、静香はパァッと顔を明るくした。
「…そうっ…!」
結城はボソリと呟いた。
「…なんだかいまの静香、静香じゃないみたいだ…。」
その声に、静香は肩がピクリと動いた。
「…どこが?」
静香は結城だけに聞こえるように言った。
「…ど、どこがって…。
いつもの静香は怒鳴り声を上げないし、変な質問もしないじゃないか。」
結城のいい終わる前に、静香はポツリポツリと笑った。
「…フ、フフフ…フフフフッ…。」
静香の状態がおかしくなったことに結城は気がついた。
「しず、か…??!」
「フフフッッ……!!ハハハハハハハハッッッ!!!!!!!!!!!」
結城の声を耳に入れず、静香は狂ったように笑い叫びだした。
「ハハハハハハハッッッ…!!ワタシハ鬼。見ツカッテシマッタ鬼。
アト残リノ鬼ハ、14体ッッッ!!!!!」
静香でなくなった生き物は、そう叫び、ボゥッと燃えた。
それは、坂野の燃えた燃え方と、同じだった…。
「…え?しず、か…??」
今の出来事を信じられない結城は、その場にポカンと、
立ち尽くしているしかできなかった・・・・。
結城はもう、悲しみしか残っていないのだろうか・・・。
悪魔はいったい、何がしたいのだろうか・・・。