プログラム:13 《予想外の隠れ場所》
けっこう階段を上がった。
あたしの学校は無駄に縦長いらしい…
「…ここ、だ。」
少し息を荒げて、雅之は目の前のとびらを指差した。
「あ、ここ…」
あたしは驚いた。
だってこのとびらは…
女子ロッカーと男子ロッカーの入り口だったんだものッッ!!
「え、もしかして雅之が女子のほう入ってくれるのっ?!!」
何故かあたしは、バラバラに入る、
という考えが浮かんでこなかった。
「…何バカなこと言ってんの、そっちじゃない。こっち。」
雅之はあたしを軽蔑したような顔をして
男子ロッカーの隣りの壁に手を当てた。
そこは小さな板が何枚も貼られてあって、
何回も修正したように見られる。
雅之は
あたしと、まだ頭を抱えている由樹を無視して、
小さな板の一つをはがした。
『ベリッ!!』
そんな音がして、その板の奥から冷たい風が吹いてきた。
「…?」
あたしは雅之を押して、
板をはがしてできた穴の中を覗くように見た。
―そこは、一つの教室のようだった。
決して広いとはいえないけど、
あたしが15人入ってもスカスカな感じの教室だった。
でもなんで雅之がこんなところを?
「入って。」
雅之はあたしと由樹を押して、
その小さな穴の中に無理やり入れた。
その穴は小さかったけど、
何とかギリギリ入ることができた。
(詰まったら命取りだって、
雅之に言われて自分自身で押し込んだのは、かなり恥ずかしい。)
「ここは俺と、春人しか知らない。」
つまり秘密基地、みたいなものですか。
「だから、もしかしたら春人が来るかもしれない。」
春人を心配して雅之は言った。
「いつ見つけたの?ここ。」
冷静になったつもりであたしは聞いた。
すると雅之は、秘密基地の話題からわざとそらすように、思い出話をし始めた。。。