プログラム:10 《立ち向かうの?悪魔に?》
「…俺も隠れ場所探す。行くぞマツ。」
しばらくうなだれていた美富もそう呟いて、
心配そうな表情をする佐々木を引っ張って行った。
「―馬鹿馬鹿しい…。」
ポツリとノゾムは言った。
「でも死ぬよりはマシじゃない?」
ノゾミもポツリと言った。
「じゃあ俺らも行こうぜ〜…。」
吉島もポツリと言った。
三人は静かに立って、教室を出て行った。
みんな動いた。
悪魔のゲェムに勝つために。
そりゃそうだ。
こんな残酷なゲェムなんかに
悪魔の遊びなんかに
負けたくはないもの。
みんな、
動き出したんだ。
悪魔を見つけ出すために。
「…奏、アタシたちも隠れよう?!死ぬなんていやっ!!」
由樹は今にも叫びそうな声を張り上げて言った。
「―うん…。雅之はどうするの…?」
「――もちろん、隠れるよ。」
雅之は、あたしたちの視線を弾いているような感じに後ろを向いたまま、
こちらに振り向いてはくれなかった。
「宮坂さん…?宮坂さん…!!」
あたしは必死に宮坂さんの名前を呼んだ。
でも、宮坂さんがあたしの声に気づいてくれる気配はなかった。
「ごめ、ごめんなさっ…!!」
宮坂さんは精神的にボロボロになった様子だった。
ただ頭を抱えて、そして涙を流していただけ…。
「春人も隠れるだろう?」
雅之の声に、春人は…
「うん。でも…宮坂さんを一人で居させるわけにはいかないから…。」
春人は軽く苦笑して雅之に向かって言った。
「…そうか…じゃあ、早く隠れろよ…。」
雅之の声は、いつもより元気がない。
なんだか聞いているこっちが寂しくなってしょうがない。
「分かってるよ、雅之。また、後で会おう。」
春人はそう言って、あたしたちに苦笑してみせた。
「…うん。」
あたしたちは教室を出た。
いまから始まる
命を賭けたゲェムに立ち向かうために。