第2回戦
「で、どうして僕は呼び出されたんでしょうか?」
僕は目の前にいるメガネのお姉さん、学園長の前にいる。
朝のホームが終わった後、すぐのように僕は学園長に呼び出された。
全校放送で呼び出すのはなんとかならないのだろうか?
それだけで、どれだけ僕が恥ずかしい思いをしているのかこの人は分かっていない。
「あの、学園長聞いてます?」
僕は、一向に返事をしない学園長に向かってもう一度問うた。
「いい加減その『学園長』っていうのはやめないか?私たちは、じきに親戚同士になるんだぞ?」
じきにって、いやそれ以前にその話はまだ保留中だろ。
それに、仮に婚約を認めても最低でも、あと六年は先だぞ!
もうこの際、ふざけて『お姉さん』とか呼んだらどうなるのだろうか?
というわけで、
「では、『お姉さん』と呼びます」
「別にいいぞ?むしろそうしろ」
ふざけてつけたあだ名が、正式な呼び名になってしまった。
普通に恥ずかしい。
「今のやっぱ無しで」
「断る」
即答された。
これは完全に墓穴を掘った形になってしまった。
もう学園長をからかうのはやめよう。
決意した時だった。
控えめなノックが響いた。
「失礼します」
入ってきたのは、いつもお馴染み無表情の詩織ちゃんだった。
でも、今は心なしか不満そうな雰囲気が出ている。
「麗香さん、少しいいですか?」
衝撃の事実、なんと学園長の名前は麗香というらしい。
「ん?あぁ、またか…」
「はい、またお願いできますか?______ってなんでゆきさんがここにいるんですか?」
詩織ちゃんが無感情の瞳で僕を見つめる。
「あぁ、ちょっと雑用で呼んだんだが、詩織、お前の好きにしていいぞ?」
ん?
なんかおかしなことになってきてるんだが…………。
好きにしていいって?
「そうですか、ではえんりょなく。ゆきさん、手伝ってください」
そう言うと、詩織ちゃんは僕のズボンをキュッと掴んで、上目遣いで見上げた。
もう、なんでもしてあげたくなる。
むしろなんでも言いつけて下さい。
そして、詩織ちゃんは僕を引っ張って、ある場所へ連れて行く。
思い出されるトラウマ。
行先はまさに、あの部屋だった。
「………いつから?」
詩織ちゃんがここへ僕を連れてきたということは、そう言うことなのだろう。
つまりは、今、詩織ちゃんをキス衝動が襲っているということだ。
よく見ると、さっきに比べて瞳が潤んでおり、無表情だった顔には、ほのかに朱が混じっている。
「朝のホームが終わった時くらいからです。それもでは全く問題はなかったのですが………」
そう言う詩織ちゃんの息は、少しだが荒くなっている。
「とにかく、わたしの……りせいがのこっているあいだに…終わらせましょう」
詩織ちゃんはそれだけ言うと、四つん這いで僕に這い寄ってきた。
そんな時に、「詩織ちゃんって猫耳つけたら似合いそう」なんて考えたことは、僕だけの秘密である。
詩織ちゃんは僕を優しく押し倒すと、上に乗っかり、その後柔らかい唇をくっつけてきた。
一瞬触れるだけのキスをして離れると、詩織ちゃんは僕にお願いをした。
「ゆきさん、……このわたしには、どうしたらうまくキスできるかわかりません。ですから、リードして下さい…………」
ついに来たかと心の中で呟く。
詩織ちゃんとのキスは即ち、自身の理性との戦いであり、これを了承するとことは、またあの地獄のような状態を繰り返すことになる。
しかしこのまま放置すれば、また詩織ちゃんは暴走するだろう。
僕は意を決して、詩織ちゃんの言葉に頷いた。
「分かった。やれるだけやってみるよ」
経験値の全くない僕にどれだけリードできるかは知らないけれど、詩織ちゃんのためなら仕方ない。
いっちょ頑張りますか!
僕はまず、詩織ちゃんを優しく抱きしめた。
その後、その小さな唇に自分の唇を近づけていく。
数ミリ単位で近づいてくる詩織ちゃんのキス顏は、とても可愛らしくて、愛しさが溢れてくる。
そしてついに、2つの唇が交わった。
だが、ただくっつけるだけのキスでは終わらせない。
僕は、詩織ちゃんの唇を、舌で舐め、甘噛みをした。
その度に詩織ちゃんは「んっ………ふぁ……はぁんっ………」と甘い吐息を漏らす。
その声がもっと聞きたくて、僕は詩織ちゃんの唇を弄り続けた。
数分後、息継ぎのために一旦唇を離そうとしたが、詩織ちゃんは僕に唇を押し付けてくる。
まるで、「止めないでください」と懇願されている気分だ。
そんな可愛らしい仕草をされた僕は、詩織ちゃんの口腔に舌を入れた。
「!?」
一瞬驚いたような反応を見せた詩織ちゃんだったが、すぐのように僕の舌を受け入れてくれた。
詩織ちゃんのプニプニした口内の感触を楽しんでいると、ヌルりとしたものが舌に絡みついてきた。
詩織ちゃんの舌だ。
詩織ちゃんの舌は、口内で暴れる僕の舌に必死に絡みついてきた。
普段はあまり、表に感情を出さない詩織ちゃんだったが、キスの時には感情がよく出てくる。
今でさえも、やられっぱなしが嫌なのか、こちらの口腔を舐めまわしてきている。
「チュパ……ぁん………チュ…ヌチャ」
詩織ちゃんの声にだんだん艶が出てきた。
キスで感じているのだろう。
そして僕は、ここからが勝負なのだ。
詩織ちゃんは、一度僕から離れると、トロンとした瞳で僕を見つめながら言った。
「ゆきさん、わたしなんだかおかしいです。からだがあつい………」
僕だって熱いよ!
顔とか、もう火が吹き出そうな熱さだよ。
「すこしまってください」
そう言うと詩織ちゃんは徐に服を脱ぎだした。
もしかすると、詩織ちゃんには脱衣グセがあるのではないか?と少し心配になる。
そして1番の難点は、詩織ちゃんがまだブラをつけていないことだ。
しかし、今回はなんと、キャミソールを着ていた。
前回の反省を活かしたのだろう。
そして、キャミソール姿になった詩織ちゃんは、次に下半身に手をかけた。
ただし、スカートにではない。
その中の物、つまり_______________パンツに手をかけたのだ。
「ちょ、詩織ちゃん!?」
が、遅かった。
「はい?」と振り返った時には既に詩織ちゃんのパンツ(クマのキャラパン)は足首まで降りていた。
「おまたがスースーしてきもちいいです」
………………。
言葉がなにも出てこない。
上半身キャミソール1枚に、下半身ノーパンスカートって、なんとも言えない背徳感がある。
マニアックにも程があるだろう。
「おまたせしました。続けましょう」
天使は、僕に悪魔の囁きを施してきた。
それから詩織ちゃんを満足させるまでの15分、僕は何度もグラつきながらも理性を保ち続けた。
教室に帰ると、クラスメートの視線が僕に集中した。
その視線は、チンパンジーにさえ分かりそうな程の好奇の視線だった。
そんな視線をガンスルーしながら、僕は席に着いたのだが、ここには松田山がいる。
松田山はクルリとからだを回転させると、僕の方を向いた。
「なあ兄貴、学園長に何を言われたんだ?なんかまずいものでも見つかったか?」
例えばエロ本とか、と真面目な顔で付け加えながら、松田山は、概ねされるであろうと予想していた質問をしてきた。
流石に、『エロ本』という単語が出てきたのは予想外だったが。
松田山はある意味で、予想を大きく上回る男だった。
「別にそんなんじゃない。っていうかお前、そんなもの持ってきてるのか?」
「まあな、自分のお宝を仲間と共有する。普通じゃないか?」
普通かどうかはともかく、少なくとも、お前みたいに胸を張って言うことでははいな。
と心の中でツッコんだ。
「なんなら今度、俺のお気に入りを貸してやるぜ?」
これでも一応、男子高校生だ。
そういうのに興味がないといえば嘘になる。
しかしだ、ここで頷いてしまっていのか?
小学五年生の女の子と同居する上で、そんな物を持っていていいのだろうか?
もしも見つかった日には、完全に自殺ものだ。
そして僕は葛藤の末断ろうとした時だった。
「そうそう、最近僕ロリ体にハマっててさ___________」
「要らない」
「いやこれが_________」
「要らない」
ロリ体とは「二十歳以上だけど、見た目中学生」みたいな物のことだ。
そんなもの見つかった時には本当にヤバい事になる。
松田山も僕の返事の速さに目を丸くしている。
それはそうだろう。
僕の返事は、松田山の言葉を遮ったほどの速さなのだ。
「そ、そうか。なんか悪かったよ」
松田山は困惑しながらも謝って来た。
でも、僕にとって何が1番ショックだったのかと言えば、一瞬松田山の言葉に頷きそうになっていた自分に気づいた事だった。
このまま詩織ちゃんとあんな時間を過ごしていたら、もしかしたら僕は本当にそのジャンルに目覚めてしまうかもしれない。
そんな恐怖を感じながら、僕は次の授業に臨むのだった。