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俺と詩織のラブコメ記録(仮題)  作者: クロ
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第三ラウンド

明日はストーカーの線で捜査を進めることになった。

クライアス邸を出るとき、そういう風に決めて来たのだ。

そんなわけで士堯院邸に帰還した俺は、自分が女装していることも忘れていたため奈緒に散々いじり倒された。

思えば、今日はよく男から声をかけられた。

俺は鏡の前に立ち、自分の姿を見てみた。

「……………」

そこに写っていたのは完璧な女の子だった。

なるほど、これなら町で男たちが声をかけてきたのも頷ける。

これは言われなければ男だとは気づけない。

自分で思ってしまった辺りもうダメだと思うが、それでも俺は男だと信じたい。

その時俺に悪戯心が芽生えた。

女子用制服で登校したらどうなるのだろうか?

今でさえ体育時の着替えの時間はみんな目を逸らしているのに、この格好で行ったらみんなどんな反応をするだろうか?

ヤケクソ気味に出た悪戯心は、だんだん好奇心に変わっていき、ついにはやりたくて仕方なくなってきた。

一応フォローを入れておくと、女装がやりたくて仕方ないのではなく、悪戯をやりたくて仕方なくなっている。

そこを間違われると俺はもうこの社会で生きていけない。

まあどちらにしろ、今きているこの服は洗濯して返さないといけないわけだし、詩織ちゃんに見つかる前に着替えておくべきだろう。

そう思った時、慎ましいノック音が響いた。

「ゆきさん、入りますよ?」

詩織ちゃんだった。

いや、入ってよろしくない。

というか、この状況自体がよろしくない!

「ちょ!詩織ちゃん待って!」

言うが遅し。

詩織ちゃんはその扉を開けてしまった。

「…………………」

俺の格好を見て硬直する詩織ちゃん。

許婚のこんな姿を見てしまったのだから当然といえば当然であるが、詩織ちゃんのフリーズはそれとは別種の、そう、クライアス邸でされた反応と同じものだった。

「ゆきさん」

「……はい」

「すごく似合ってます」

無表情のままグッと親指を立てる詩織ちゃん。

ああ、人間ってどうやったら楽に死ねるんだろう?

いっそのこと奈緒に頼むか?

と割と真剣に自殺する方法を探していると、ぽすっと下腹部に衝撃を受けた。

「ゆきさん、………すごくかわいいです。

下腹部辺りで見上げるようにそう言う詩織ちゃんの顔はほんのり赤らんでいた。

「詩織ちゃん?まさか…………」

「はい、なぜか今きました」

やっぱり。

でも、今の詩織ちゃんに一体何がストレスを与えたのだろうか?

ストレスの権化たる俺は白々しく考える。

しかし、次の詩織ちゃんの言葉で思考は強制終了させられた。

「でも、今日は私がゆきさんを気持ちよくしてあげますから」

そう言うと詩織ちゃんは俺に、しゃがむように要求してきた。

詩織ちゃんの頼みは無下にはできないのでしゃがむと、いきなり唇が奪われた。

十秒間、お互いの唾液を交換しあった後、詩織ちゃんは言った。

「ベッドに行きましょう」

詩織ちゃんの頼みは(以下同文)。

俺は自室のベッドに強制連行された。




「ゆきしゃんはそこにしゅわってください」

俺をベッドの上に座らせると、詩織ちゃんは俺の唇を自身の唇で塞いだ。

大丈夫。

ここまでなら何度か経験している。

今更取り乱すこともなかろう。

さっきの詩織ちゃんの言葉は嬉しいが、俺を気持ちよくさせるなんてもう難しいぞ?

「っ!?」

が、詩織ちゃんの言った言葉は本当だったらしい。

今までなかった行為がプラスされた。

詩織ちゃんはキスしながら俺の服に中に手を入れてきたのだ。

「ちょ、し、詩織ちゃん!?」

一度口を離して詩織ちゃんの行為を止めようとするが、

「おとなしくしていてください」

と問答無用で却下された。

そして詩織ちゃんは俺の胸の先を優しく撫でた。

「んっ!?」

以前静香ちゃんたちに開発されたそこは、少し触られるだけでくすぐったいような気持ちいいようなよくわからない感覚が襲ってきた。

「おんなのこみたいにかんじてるんですか?ゆきしゃん」

この言い方は、詩織ちゃんは間違いなく楽しんでいる。

一ヶ月前までは詩織ちゃんが俺に何かするということはなかったが、今回やってみて存外楽しくなってしまったのだろう。

だが、それはまずい。

今までは何もされなかったから理性を保っていられたが、今回はキス以外にも何かされるわけだ。

正直最後まで正気でいられる自身がない。

「詩織ちゃんすとっぷんっ!?」

開けた口をキスで塞がれた。

ヌルリとした舌が俺の口内を舐め回す。

その快感が、服の下で触られる快感と合わさり、頭がぼーっとしてきた。

「ゆきしゃん、いまからおとこのひとのくちょうをきんししましゅ。おんなのこのかっこうしてるんですからちゃんとおんなのこをやってくだしゃい」

詩織ちゃんが何を言っているか理解できない。

そのはずなのに俺は、

「うん、わかった」


そう言った瞬間、俺の中の何かのスイッチが入った。


「んっ……ぴちゃ………はふぅ…」

合わさっている詩織ちゃんの口から甘い吐息と、いやらしい音が聞こえる。

もしかしたらこの音は『わたし』の口から出ている音なのかもしれない。

「あぅ………くちゅ…………はぁ」

『わたし』からも勝手に声が出てしまう。

チラッと鏡を見ると、そこには女の子二人が、キスをし合っている絵があった。

さっきスイッチが入ってから、胸を刺激される時の感じ方が変わった。

さっきまではくすぐったい感じだったのに、今は微弱電流を流されているようにピリピリしている。

それがまた気持ちよくて、『わたし』は身を任せた。

そうしていると、詩織ちゃんにもこの感じを味わってもらいたくなって、『わたし』は詩織ちゃんの服の下に手を伸ばした。

少し硬くなっているところを摘むと詩織ちゃんは、

「はうぅ!」

と背中をのけぞらせる。

「詩織ちゃん気持ちいいの?」

「は、はいぃ、ひもちいでしゅ!」

呂律も回らず、目に涙を浮かべながら言う詩織ちゃんはすごくかわいくて、思わず苛めたくなってしまう。

「じゃあもっと気持ちよくしてあげる…………」

それから十五分、『わたし』と詩織ちゃんはイチャついた。

※一線は越えてません!


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