8章13話「暗殺者が最後の希望」
『これぞ、アインシュタットの第2形態! 魔力吸収形態だ』
彼がそう言うと、赤い機体から見えない糸のような物が空中へと伸び始めて、それが現れてから僕達は苦しみ始めた。特に魔法使いであるディオルーさんと、魔法騎士であるメンルリさんが苦しそうにしている。
「こ、これは……」
「レンラさん、目が……!」
そう言うメンルリの言葉に対して、僕は慌てて確認するとその瞳は元の瞳に戻っていた。どうやら僕の瞳が元に戻っている事を見ると、それから魔法を使うディオルーとメンルリに大きな影響が出ている所から見ても、
(あの機械は、魔力を吸い取っている!?)
そしてアインシュタットと言うその機械に乗るがシヴァはそのまま攻撃を開始した。
『このアインシュタットの真の実力は、魔力を奪い、その魔力を使って魔法を使うと言う点にある! 喰らえ、雷の槍!』
アインシュタットはその機械で出来た手に魔力を作り出して、雷の槍を作り出して構える。そしてその雷で出来た槍を放って来た。
「ちっ……!」
僕はツービネを構えてその雷の槍に対処する。雷の槍を弾き飛ばしたけれども、攻撃は続く。アインシュタットはさらにいくつもの雷の槍を作り出して、僕達に向かって放つ。それを対処するが、どんどん対処が難しくなっていく。何故か異常に体力が減少していくのだ。そこまで疲れる行動はしていないはずなのに。
『アインシュタットには敵の体力を奪う効果もある! 貴様らは我の作りし、この機械には勝てん!』
魔力を奪って魔法を使い、体力を奪ってへろへろにさせる。
この機械、意外と侮れない強敵かもしれない。
『フハハハハ! どうだ、参ったか、弱者共! 我が機械は完全無欠にして無敵成り!』
……中の人のせいであまり大きな声で強敵と言いたくはないんだけれども。
魔力を奪って体力も奪われた事でこちらのスピード、つまり全動作の行動が格段に落ちた。魔力で戦う事を常としているディオルーやメンルリさんはかなりの痛手らしく、かなり消耗しているらしい。僕もまたそうである。魔装にかなりの魔力を使ってそれを奪われたんだから、彼女達と似たような状況である。
アトアグニさんは前の戦闘でのダメージによって、かなり消耗している。
今、僕達のパーティーで唯一無事と言うか、戦えるのはアスクムだけ。
「まいったね。暗殺者が最後の希望とか、とんでもないパーティーだぜ」
そう言いながら、アスクムは短刀を構える。そして向かって来たアインシュタットの右足を切断。
『ぬっ……!?』
「どんな機械でも一番の可動部は脆くなってる物だ。まぁ、それでも硬かったけど」
流れるような動作で左足も切断。
『おっ……!?』
「機動力を奪って戦うのが暗殺者としての常識だからな」
そして、すぐに相手のコックピッドにまで跳んでコックピッドめがけて強烈な蹴りをお見舞いする。流石に割れなかったが、ひびらしき物が出来てしまっている。
「後、もう数発やれば良いか」
我らが頼りある暗殺者は短刀を構えながらそう言った。そしてそのまま数発殴り続け、アインシュタットは倒れた。




