8章9話「協力」
―――――アトアグニ・メンルリ組――――――
――――――圧倒的な勝負。
その戦いを、いや一方的な蹂躙はそう長くは続かなかった。
「フフフ……♪ もう、降参かしら?」
と、舌なめずりをしながらクナピトがそう問いかけると、アトアグニとメンルリの2人はキッとした眼で睨み返した。
集中力の差。それは一対一での戦いだと多少の差しか生まないが、それが複数人での戦いとなると途端に意味を発揮する。連携と言うのがきちんと取れているのならばいざ知らず、連携が取れていない場合だとその仲間に当たらないようにするために神経を尖らすからだ。戦闘だとある意味、二対一の場合、集中力の高い一人の組の方が勝つのは、そう言った仲間に遠慮しあって二人の組がお互いの力を出し切れないからこそ、負けるのだ。
そして、只今のアトアグニとメンルリも同じ状況だった。
2人の個々の実力は高い。しかし、アトアグニはともかく、メンルリの方が問題なのだ。
メンルリは1人で上級任務を受けていて連携する事を熟知していない。また、アトアグニの方もまたエルフ故か、それとも当人の気性の問題か、そのどちらかは断定出来ないが人と話し合うと言う事が苦手。そんな2人組は個々の実力で圧倒出来る相手だと苦戦を強いられないが、
「どうしたのかしら♪ 降参して、綺麗な身体でコスプレした方が身のためよ♪」
協力して倒すような相手に対しては、2人は圧倒的に無力だった。
(ど、どうすれば良い? ボクの最強呪文ならば、あのクナピトさんを倒すのは容易だろうけれども、それだとアトアグニさんが……)
(……相手の隙のタイミングを教えたいのは山々。けど、それだと相手に気付かれる。2人だけの暗号を決めてなかったのが盲点)
2人とも、互いに互いに遠慮しあって、苦戦を強いられていた。
「フフ♪ 協力し合えないと言うのは悲しいわね。けど、戦闘においてはそう言った悲しい事情で死ぬのもまた、一興よ♪」
そう言って、クナピトは槍を構える。
「あなた達は互いに互いを信用していない。だから、―――――――――私に負けるのよ!」
クナピトは槍を構えたまま、メンルリの方に一直線に跳んだ。それをメンルリは体勢を崩して受け止めながら、先程のクナピトの言葉を頭の中で繰り返す。




