8章6話「切り札は常に」
――――――――――――レンラ・アスクム・ディオルー組――――――――――――
「短刀、6連撃」
ガイオンはそう言って6本の短刀を構えて、その構えた短刀を上空へと飛ばす。飛ばした短刀は何もぶつかっていないにも関わらずに空中で方向転換して飛んで行った。その6本の短刀は1人に付き2本の短刀が発射されていた。
アスクムは忍者刀の刃を逆手持ちして2本の短刀を防ぎ、ディオルーは水の球を作り出してその中に飛ばされた2本の短刀を入れていた。僕はウナ・コレンテにて飛んで来た2本の短刀を撃ち落とす。
「やっぱり3人は、きつい、か。仕方ない、出し惜しみなしでいくしかない」
ガイオンはそう言って手には持ち切れないほどの、1000本近い短刀を取り出していた。その1000本近い短刀を空中へとばらまいて、その後20個近いサイコロをばらまいていた。その出た目は全部6、そして短刀は空中で折り返す。
「――――――6、ゾロ目。特別ボーナス、60倍。全7200。
全1000本を超えるナイフは、空中にて幾重にも折り返して相手を殺す刃となって斬りつける。
――――――――ガイオン流サイコロ暗殺劇。千連撃!」
ガイオンが投げた短刀はガイオンが言うように空中で幾重にも方向転換しながら僕達3人を狙って来る。確かに1000本もの短刀で、しかも無駄に方向転換を繰り返すのだったら対応にも困るだろう。しかしそれは1000本の短刀が1つ1つ方向転換して襲って来た場合のみだ。この場合には当てはまらない。
「アクア・ボール!」
ディオルーは大きな水の塊を作り出し、その中に200本以上の短刀を収納する。そしてアスクムは忍者刀を大きく振るい、その余波で100本近い短刀を弾き飛ばす。
「奥儀、水龍波!」
僕はヒュドラの右腕から水を流して、その水を竜のような形で飛ばして200本の短刀を弾き飛ばす。
――――――残った短刀は500本。同じようにして500本の短刀を破壊した僕達は、ガイオンに対してそれぞれ己の武器を突きつける。
「―――――終わりだ、ガイオン・ダラムアトル」
ガイオンは打つ手なしと言う形で、唇を強く噛みしめていた。
「けれどもだからと言っても、対抗策が何一つないわけではない。切り札は常に俺の手の内にあるのだ」
カチッ。
と、嫌な音が辺りに響き渡る。その音を出しているのは、ガイオン。
「追い詰められた人間は何をするか分からないよ。例えば歯の中にこの『八面結界』の制御装置を隠して君達をそれぞれ別の場所に飛ばす、とかね」
『……!』
そして僕達3人はそれぞれ別の場所に飛ばされるのであった。




