8章4話「残念ながらここから先は通行止めだ」
――――――――レンラ・アスクム・ディオルー組――――――――
レンラ、アスクム、ディオルーの3名はシワコとコヨルの2人を倒して『背倉辺総合株式会社』へと向かって行った。それもレンラ、アスクム、ディオルーと戦っていた3人のシワコとコヨルの偽物である販売ロットであったのだが。
「しかしシワコとコヨルは弱かったね、本当に。こんな僕に負けるなんて」
「いや、ただ単に相性の問題だと思うぞ」
「そうね。あの2人は明らかに戦い慣れしてなかったし、暗殺者のように後ろから隙を見せて攻撃される事に慣れていなかったんでしょうし」
と、アスクムの皮肉に対して僕とディオルーはそう言っていた。本当にシワコとコヨルに勝てた要因は僕とディオルーの2人で目を引き寄せて、その間にアスクムは2人を後ろから倒されていた。
「――――――と、そろそろ見えて来たようだね。レンラ君、見てごらん? あそこがヤヤさんの連れて行かれたとされている『背倉辺総合株式会社』だよ」
「確かに名前はそうね……」
アスクムがそう言って指差した先は、確かに『背倉辺総合株式会社』と書かれているビルがある。
「あれが……連れて行かれた『背倉辺総合株式会社』……ね」
「おっと、そう簡単に行けると思われたらサイコロで1以上を出す確率、つまり100%簡単という事だな。けれども本当に君達が出来る可能性はもっと少ないのだよ」
『背倉辺総合株式会社』に僕達は入ろうとしたのだが、それを邪魔する男が出て来た。
白を基調とした格調高いスーツを着た細身の長身男性、ガイオン・ダラムアトル。黒縁メガネにすらっとした顔立ち、肌は白くその青い髪は適度な長さで切り揃えられている。腰には2本の短刀を帯びており、ポケットはぱんぱんに膨らんでいる。
「残念ながらここから先は通行止めだ」
彼はそう言って、黒い8面体の賽子をぱんぱんのポケットから取り出す。
「さぁ、足止めさせて貰おう。シヴァ・バスレイヤさん製、『八面結界』」
そして彼が自身の能力で八面体を回して、僕達は急に視界が暗くなった。




