7章9話「ヤヤを救い出そう」
駅で移動する事数分。僕達は駅を数駅乗り継いで『背倉辺総合株式会社』がある駅へと辿り着いていた。
「ではヤヤを救い出そう。『背倉辺総合株式会社』があるのは……ここか。アスクム、どの辺りにあるんだ?」
アスクムに聞くともう既に調べてあったのか、簡単に情報を言って来た。
「ビルが蠢く密集地帯にあるとされる場所、かな。とは言っても、そこの一部、2階のみがそれにあたるんだけれども」
「と言う事は他の階の住人は攻めて来ないのね? なら安心して進めるわ」
それに対してディオルーはそう言いながら気持ちを新たに歩く。
「……止めて来そうなのは?」
「5人組ならば2人か、3人。それがボクとしても普通だと思うけど」
アトアグニさんとメンルリさんの2人は何人攻めて来るかと言う事を話し合っている。
皆で考えているのは2、3人。中に1人ヤヤを守るために居るとしてもその連携に1、2人裂くのが普通。となると、邪魔して来るのは2人。
アサセノスはヤヤを守るために居るとして、他の仲間が4人。
「ならば、こちらも無駄な戦闘を避けるために何人か分けておいた方が良いでしょう」
今居るのは僕を含めて5人。ならば2人と3人に分けた方が戦いやすいと言う物である。
「それなら僕とアスクム、それからディオルーの3人で1グループ。そしてアトアグニさんとメンルリさんの2人で1グループで分けよう。どちらかに敵戦力が傾いてしまったら、助けずにその隙をついて『背倉辺総合株式会社』へと入ろう」
戦力をこのように二分したのは、いくつか理由がある。
まずはアスクム。アスクムはこの中でアサシンと言う一番戦闘力に欠ける職業。まぁ、あくまでもこの中ではと言う面でだが。故に3人組になっている。メンルリさんはそれとは逆に魔法剣士と言うこの中では剣も魔法もどちらも出来ると言うので、2人組の方へ。後は僕とディオルー、アトアグニさんを考えて配置した訳なのだが。
皆も納得の上で僕の提案を受け入れてくれた。と言う事で僕達は二手に別れて向かって行った。
その様子を見ていた外で防衛を任されていたシワコとコヨルは作戦を練っていた。
「どうやら、相手は二手に分かれるようです。二手に分かれてしまうと私達2人も別れて迎撃した方が良いのでは?」
「ピピ……。しかし私達2人の戦力ですと、どうしても2人一緒じゃないときついです」
シワコがコヨルにそう聞くと、コヨルは正直な気持ちを吐露する。
2人は『どんぐりの会』の中でも穏健派。戦闘の面に置いては、彼女達は足元にも及ばない。故に彼女達はこうしてただの迎撃に当てられたのだが、2人でやるのならば止めて置く算段もあるのだが、どうしても1人ずつだと確実に止められる手段を思いつかない2人。
「確かにそうね。私とコヨルならば、彼らを効率的に倒せるけれども片方だと使えないわよね」
「ピピ……。ならば私に妙案があります」
「へぇ……。どんな案ですか、コヨル?」
そしてコヨルはシワコに作戦を提案した。
「それは面白い奴です。現状、その手しかないのでそれでいきましょう」
「ピピピ……。では、『ロボスイーツパーティーと援軍作戦』開始」
シワコとコヨルはその作戦を開始した。




