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魔剣使いとハーレムと  作者: アッキ@瓶の蓋。
第7章 冬の『どんぐりの会』

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7章閑話「真なる全世界最強」

 レンラ・バルトレンジがアスクム・フレイアト、ディオルー・セレネオス、フォルセピア・アトアグニ、メンルリ・シウテムカの4人と共にヤヤ・ヒュプオンの救助する事を決めたその日の夜。



 アスクム・フレイアトは制服を着ていた状態で、トラソルクエ学校の生徒会室で窓辺に向けて腰かけて、コーヒーを飲んでいた。



「で、どうだったんですか? 生徒会長様?」



「うんなのね。指摘通り、べスナル君が一口噛んでいたよ。とりあえずしめておいたから、気にしないでくださいなのね、アスクム君」



「君は女性だからこそ、『しめる』なんて言葉を使わないでくださいよ。そこはせめて、『倒す』と言う言葉でお願いしますよ。流石にそれは言葉的にもまずいと思うんだけど。あと、その語尾の『なのね』もいらないと思うよ」



 アスクムがそう言うのは、紫色の髪の眼鏡をかけた、いかにも魔法使いの女性だった。漆黒のマントに身を包んだ、2mを超さんばかりの大女。その腰には古びた日本刀、そして胸ポケットには真っ黒のトランプが入ったトランプケースを入れている。

 トラソルクエ学校生徒会長、ヘルワーン・フレイアト。名前からも分かるようにフレイアトの関係者、フレイアトの一歳違いの従姉である。



「しかしそれにしても、まさかべスナル君が本当に転生者だっただなんて……。あれは単に冗談だと思っていたよ」



「良く言うわなのね。あいつは怪しいと最初から判断したのは、そっち(アスクム君)なのね。そうじゃなかったら私は動かったなのね。私も意外と忙しいなのね。だからあなたは誇っても良いと思うなのね」



「なのね、なのね、とうるさいなのね。かな?」



「……からかうな、なのね」



 そう言って、顔を赤らめる生徒会長(従姉)であるヘルワーンの頭を撫でる一般生徒(従弟)のアスクム。その姿は何も知らない生徒から見たら、彼氏彼女の姿に見えた。



「しかしどうだい、その転生者とやらは? 伝説(レジェンド)とかだと、転生者って随分強いようだけど」



「……期待には沿えそうには無いなのね。精々、全ての攻撃を防ぐ無敵の防御膜(バリアー)を持っただけの、転生者だったなのね。別にそこまでアスクム君が言うくらいの強さは、彼は持ち合わせていなかったなのね」



「いや、それを弱者と呼ぶ君の神経がどうなっているんだい? それは普通、強者にしても良い人間だよ」



 そうなのだ。べスナル・テスカシュミは転生者であり、転生する際に俗に言う異能を手に入れていた。能力名はヘルワーンが聞かなかったため、判明しないが能力自体は分かっている。彼は自らの領域を作り出す能力を持つ。



 その領域は半径50m程度、そこを覆う壁はあらゆる攻撃を跳ね返す絶対無敵の壁であり、その壁はこの世界のどのような物でも破壊出来ない。その領域に入っている間、べスナルの攻撃力と射程距離は増し、さらにその中に入っている間は自己回復作用と自己修復作用によって人間とその人間の持つ物を全て回復する。そしてその中に入る者はべスナルが許可した者ならば、何人でも入る事が可能。最大1日は持続して使う事が出来る。

 少なくとも『どんぐりの会』の面々が持つ異能に比べたら、なんとも使える異能である。そして本来ならば、誇っても良いような能力である。



 そんな異能と、神様に贔屓(ひいき)され過ぎじゃないかと思えるような魔力を持ったべスナルを倒すのが簡単だったと言い張るヘルワーン。その姿をアスクムは溜め息を吐きながらも見ていた。



「それを簡単に倒せると言い張るなんて……。流石だね。

 これまで数多の異能や絶大なる魔法、果ては最高位の戦闘技能を持つ転生者を。

 それから地域によっては『魔王』と呼ばれる強者を。

 果ては『勇者』と称されても可笑しくはない猛者を。



 沢山の戦闘を乗り切って強さを手に入れて来た者。

 真なる全世界最強、トラソルクエ学校生徒会長のヘルワーン・フレイアトさん」



「……褒めすぎなのね」



「褒めるべき事実があったら、褒めるのは当然ですよ。従弟として、いや人間として」



 そう言って1杯飲むアスクム。そしてコーヒーカップを生徒会の使う机の上に置くアスクム。



「じゃあ、処理してくれる? 僕の友人が助け出したいって、気が気じゃないんだよね。

 だから今のうちに処理しておいてくれたまえ」



「……君。従姉だからと言って、何でも出来ると言う訳ではないんですけどなのね」



「生徒として生徒会長を頼るのは当然だと思うんだけど。

 僕は一度たりとも従姉として君を頼った事はないよ。僕は1人の友人として接しているんだけど」



「……良く言うなのね。私は一度たりとも、あなたを友人として接した事はないなのね」



 そう言って、アスクムは帰って行った。



 完全にアスクムが帰ったところで、ヘルワーンは溜め息を吐きながらもどうにかしてその案件を処理しようと動いていた。

次回予告はこれで最後にします。前に「後書きいらね」と言われた人が居たので。

次回は4月25日0時投稿予定です。

これもだいぶ長くやってきて、次回がなんと80部です。

では、【7章8話「覚悟の違いが」】をよろしくお願いします。

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