6章4話「レンラ・バルトレンジ」
結局の所、このゲームの勝者は全敗した『三発の雷』であった。
何故かというと、それはこのゲームが実は『三発の雷』にも利益があるゲーム内容にしていた事が理由の1つである。このゲーム、後で生徒会の妨害が入るとゲーム自体が出来なくなると考えたクロノウス・ウルカニアは1つ、生徒会とある取り決めをしていた。それはこう言う内容だった。
『僕様達が倒した人間、つまりは参加した人間が巻く腕章の価値を決めよう。
彼らは1000円払った。つまりこの腕章は、1000円分の価値がある。と言う訳でこの腕章の価値は1000円である。と言う事にすると、色々と問題が生じるのでここは生徒会にも迷惑をかけたので、僕様達の取り分は200円としよう。
200円。つまり、僕様達が倒した人間を10人とすれば僕様達は2000円、君達は8000円貰えることになる。経済難とも言えるこのご時世で、出来るだけ学校に金を用意しておきたいのは君達も思っている事だろう。
……だからごめんだけど、僕様達が出す賞金の半額は君達が出してくれるかな?』
なんともまぁ、呆れた取り決めだがこの取り決めは実施された。
賞金は5万円が2つと10万円が1つ。そしてその半額を彼らは払うので、合計で『三発の雷』は生徒に10万円を払う事になる。
生徒会も同じく10万円を支払った。
そしてこの戦い、参加者の9割は『三発の雷』に戦いを挑み、僕たち以外は全員負けた。
このゲームの参加者は実に2000人ほどだったらしい。そして9割は倒された。
つまり1800人倒されたから、手に入れた金額は取り決めに従い『三発の雷』は36万円、生徒会はその4倍の144万円と言う事になる。凄い金額だ。
だから生徒会ほどでないにしても、『三発の雷』は26万円の金額を手に入れたのだ。何ともまぁ、お粗末な話である。
その話をフレイアトから聞いた僕は、急いでクロノウスの元へ向かった。
「クロノウス、どう言う事だ!」
「どう言う事とは何の事だい? 僕様達が実は約26万円を稼いでいましたよーって事かい?」
「あぁ、そうだよ……」
「そうは言ってもだね、僕様よりも生徒会の方がかなり儲けてると思うよ? 何せ彼らは僕らの約4倍の金額と参加費の一部を手に入れてるんだから。聞いた話によると、流石に参加者同士と戦った人間は少なかったみたいだし」
そうだ。儲けてるのを責めるならば生徒会の方が儲けている。だけれども僕は!
「クロノウス。お前は僕と真剣に戦ったか?」
それが知りたかった。
僕が彼、クロノウス・ウルカニアから魔剣を取った理由。それは勝ちたかったから。
クロノウスは昔から僕よりも強く、そして僕の憧れの人物だった。だからこそ憧れの彼よりも上に、強くなりたくて、彼の持つ魔剣を奪ったのだ。
そう。僕は彼より強くなりたかった。ただ単に強くなりたかった。
クロノウスから魔剣を奪った時、明らかに彼は本気じゃなかった。
子供な僕に真剣になるのも可笑しいが、こっちは真剣だったのだ。だからこそ彼との取り決め通り彼の両腕を切り落とした。それくらい僕には覚悟があった。けど彼は違った。
彼は笑っていた。
流石に気まずくなった僕は病院を訪れたんだけど、そこにいた彼は笑顔で僕にこう言ったんだ。
『やぁ、レンラ君。楽しい遊びだったね』
彼にとって僕との真剣の戦いは、ただの遊びだったのだ。それが僕は本当に嫌だった。
「今度こそ僕はお前に勝てたのか?」
「僕様に勝ったのは2度目だったね、レンラ君。けど今回の僕様は真剣だった。今持てる全力を君にぶつけた。だから君は誇って良い。
レンラ・バルトレンジはクロノウス・ウルカニアとの真剣勝負に勝利した。だから君は僕様より強い。
もっと強くなれ、レンラ君。そして君の”宿命”の相手を倒すんだ」
「それだけ聞ければ十分だ」
僕はそう言って彼に背を向けて立ち去った。




