6章B1話「ボクもそう思っているよ」
【リストロル・ビジョップ編】
『雷通』ことリストロル・ビジョップの居るグラウンドへと、アトアグニさんとメンルリさんの2人は向かっていた。
「……ビジョップ、強い?」
「リストロル・ビジョップの事? そうだね……。ボクとしては、あまり印象は無いね」
と、アトアグニさんの質問にメンルリさんはそう答えた。
「そう……?」
「うん。と言うか、2人の印象が強すぎるからね。
ハトトリー・クイーンは破壊力、そしてクロノウス・ウルカニアは制覇力と割と目に見えて分かる物なのに関わらず、リストロル・ビジョップは技術力と言う目に見えない物だから。けれども、それでもボクは弱いとは思った事は無いよ」
「うん……。他の2人に比較にならないんでしょ?」
「ボクもそう思っているよ」
そう言って2人は、グラウンドへと向かって行く。
グラウンドに近付くに連れ、負傷している人がどんどん多くなっているのに気付いた。しかも驚くべきは、その傷。
負傷している人には、誰一人”傷を負ってはいなかった”のである。
これは負傷が出ないほど攻撃力が弱いと言う話では無い。
負傷している生徒は全員、戦いを目的として戦っている者達だ。その強さは千差万別あれど弱すぎると言う事は無い。そしてこう言った戦いでは必ず傷が出来てしまう。
そう、傷だ。リストロル・ビジョップが傷を負わさないように戦っているにしても、それはそれで自らが傷ついてしまう。そんなのは非効率すぎる。だから、普通はしない。ましてやそれをやったとしても数人で自分がやられてしまうだろう。相手は本気で戦って、本気で傷を負わせようとしているのだから。
しかし、ここに居る総勢”50人”全員を負傷させないように戦い、勝利すると言うのは……
「あまりにも異常だね」
「……コクコク」
自分達がこれから戦おうとしている人間が、少なくともそんなに楽観視して勝てるような人間では無いと思うアトアグニさんとメンルリさんだった。
次回は12月13日0時、投稿予定です!
タイトルは【6章B2話「銃機ガンスロット」】、どうかお楽しみに。




