6章Q1話「私の事を何だと思っているのよ!」
【ハトトリー・クイーン編】
アスクムとディオルーの2人はハトトリー・クイーンの居る体育館へと向かって行った。
とは言っても、体育館は姿が見えないにしても、その場所は2人の目にはっきりと分かるように存在していた。何せ体育館が存在しているだろう場所からは、黒い煙が天高く昇っていたからである。
その煙を見て、アスクムはしみじみとした面持ちで頷いていた。
「あくまでも情報通りだなー、全く」
「……どう言う事よ、アスクム」
そうしみじみと言うアスクムを怪訝そうな顔でみつめるディオルー。
「僕達が今から戦うハトトリー・クイーンが所属する『三発の雷』は、全員それぞれ系統が微妙に違う雷魔法を持っているんですよ。
そしてリストロル・ビジョップは技術力、クロノウス・ウルカニアは制覇力に優れているとされているんだよ。そしてハトトリー・クイーンが優れているのは破壊力なんだよ」
「破壊力……あぁ、それであの黒い煙って事ね」
「そう。どうやらあの怪力と何らかの雷魔法で破壊を行っているんだろうね。黒い煙がもくもくと昇るくらいな奴を」
そう言いながら、アスクムは肩をすくませながら言う。
「まさか破壊力に優れているとは聞いていたけれども、ここまで強いとは……ね。背後からザクッとやろうと思っていたのにさ」
「暗殺者らしい発想だけど、それも無理そうね」
「他の2人はそう言うの難しいから、彼女に指名しただけなんだけど。ディオルーさんのようにただ純粋なる力勝負目当てじゃないからさー」
「ちょ、ちょっとアスクム! 私の事を何だと思っているのよ!」
「……力自慢の水龍さん?」
「うが―――――――――!」
アスクムの言葉にディオルーは怒るようにして言っていた。
そしてそのまま、アスクムとディオルーが天井のあちらこちらに開いている穴から立ち昇る黒い煙の体育館の、ぼろぼろになった扉を開けると、
そこには沢山の腕章が剥ぎ取られた男子生徒達や女子生徒達が床に転がっており、あちらこちらの床や天井には床に転がっている生徒達と同じくらい多い刀や剣が突き刺さっていた。
その真ん中に沢山の腕章をその刀や剣が入っていた籠に腕章を入れているハトトリー・クイーンの姿があった。
「ふぅー……。これで良いかな? と、私は思うのだけど」
と彼女はそう言いながら、体育館の扉近くに居る2人を見つめる。
「早めにあの2人のも倒しましょうかね。と、私は思うのだけど」
そう言いながら、クイーンは床に突き刺さっていた1本の刀を抜き、2人に向き合う。
「くっ……。出来る限り、相手の隙をついて攻撃しましょうかね」
「パワー勝負では負けないわよ!」
「やっぱり水龍さんじゃん」
「うが―――――――――!」
2人のそんなやり取りを見ながらクイーンは溜め息を吐きながら、
「……『三発の雷』、雷の怒涛なる一撃。『雷撃』ことハトトリー・クイーン。参る」
彼女はそう言いながら、ゆっくりと2人目がけて歩き始めていた。
次回は1週間後の11月15日0時、投稿予定です。
【6章Q2話「受けると良いさ」】をよろしくお願いします。
では、これからも読んでくださると嬉しいです。




