5章6話「では、皆様。楽しんで行ってください」
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その翌日、準備祭2日目の演劇の日がやって来た。
そして僕とヤヤ、そしてアスクムはメンルリさん達のクラスの演目を見ていた。多分、今ここには居ないだろうがディオルーやアトアグニさんも別の所でこの演劇を見ているのだろう。そうして見ている間に幕がかかった体育館の端から金髪巨乳の黒い紳士服の女性が現れた。
多分、あいつはリストロル・ビジョップだろう。黒い眼鏡をかけており、どうやらナレーション役らしいな。
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。只今より2年生演劇、『白雪姫と7の小人』をお送りします。では、皆様。楽しんで行ってください。A nightmare continues by the end of tomorrow」
彼女はそう言って、ビジョップは幕の中へと消えて行った。
「昔、ある所に白雪姫と言うとても美しい王女と彼女の継母が暮らしていました」
ビジョップの言葉と共に、継母が幕から出て来る。継母はクイーンがやっているようで、肩より長い黒髪と虹色の瞳、そして剣がいっぱい入った籠を背負っている。と言うか、そんな継母は居ないと思うんだが……。
「継母は魔法の鏡を持っており、いつも魔法の鏡に質問していました。そして『継母が世界で一番美しいです』と聞いて楽しんでいました。
白雪姫が16歳になった頃、継母はいつものように質問をしました」
「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰? ねぇ、分かってるわよね? ここはあれよ。さぁ、答えなさい。私よ私よ私よ。と、私は思うのだけど」
……クイーン、結構熱が入っているな。演技とは思えない演技である。本当に世界で一番美しいか聞いているようである。
「鏡はこう答えました。『違います、この世で美しいのは白雪姫です』と。すると、継母は激怒しました」
ドン! ガキッ! バゴーン!
『……』
ちなみに今の音は、継母役のクイーンが鏡をその怪力で壊している時の音である。何か彼女が殴ると、鏡が原型を留めないくらい灰と同じくらい粉々になっているのだが。
そして、クイーンが一言。
「……見解の相違ね」
……。誰もその鏡のような粉々になりたくはないようで、見事に黙っていた。
「続けます。鏡がそう言ったのを聞いて、激しく怒った継母は狩人を差し向けて、白雪姫を殺そうと考えました」
舞台上から継母が消えて幕が落ち、代わりに白雪姫と狩人が現れる。
白雪姫役だと思われる足まで伸びる水晶のような水色の髪の女性で、豪華なドレスを着ており腕や足には呪詛のような黒い紋様が描かれている。そして狩人役の男性は、両腕が義手の青い髪をした中肉中背の男性だった。彼は金色の太刀を白雪姫に向けていた。
白雪姫は分からないが、どうやら狩人はクロノウスのようである。
「さぁ、白雪姫。悪いが王城から出て行ってもらおう。そうしないと、うちの雇い主が怒っちゃうからね」
クロノウスはそう言って、白雪姫に太刀である『一期一振』を向けていた。
白雪姫は『一期一振』を見て、何も見ていないような目で刀を見つめていた。そしてひとしきり観客に刀を見せつけた後、幕の中へと消えて行った。白雪姫は反対側の幕の中へと消えて行く。
向こうでは場面変換が行われているようで、どたばたとした音が聞こえる。
「でも、心の優しい狩人は、白雪姫をそっと森の中に隠して、継母には白雪姫を殺したと嘘をついたのです。そして森の中に隠れた白雪姫は森の中で一軒の家を見つけました。それは7人の小人の家だったのです」
幕が上がると舞台上には大きな家が現れていた。中には7人の小人が居た。その中の1人にはバニーガールを着たメンルリさんの姿があった。そして幕から白雪姫が現れて、その家を見つけたようだ。どうも白雪姫は何も見ていないような目で見ているので、いまいち分かりづらいがそうらしい。場面的にはそうなのだろうな。
「白雪姫はその森の中の家で小人たちと楽しく暮らしていました。
一方、その頃。城から1体の化け物が小人達の家へ向かっていました」
ドゴーンと言うような爆音と共に、天井から黒い煙と共に黒髪のロングの虹色の瞳の女性が両手に斧を持って出て来た。全身から黒い妖気を出しており、虹色の瞳は幽鬼のように揺れている。
「そう、それは白雪姫が生きている事を知り狂気に身を包んで、斧を持って殺しに来た継母でした」
……何か魔女では無く、怪物と貸してしまった継母が出たんですけれども!?
やばいな、この『白雪姫』の物語。
次回は白雪姫後編です。
3日後、10月12日0時投稿予定なので、是非お楽しみに。




