5章昔話①「何、これ……」
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ハトトリー・クイーンの家、クイーン家は王家であった。
王家と言ってもかなり昔王家だったと言うだけである。
クイーン家は力で王家になった一族だった。要するに、圧倒的な力で一族であった。生まれてくるクイーン家は何らかの面で優れた者達であった。
彼女の3つ上の姉は魔法の才覚に恵まれていて、魔法での圧倒的な力を持っていた。
彼女の魔法は誰もが羨むほどの圧倒的な才を持っていた。魔法を扱えば誰にも負けないと言う程だった。
彼女の2つ上の兄は武器の才覚に恵まれていて、武器での圧倒的な力を持っていた。
彼の武器技術は誰もが羨むほどの圧倒的な才を持っていた。武器を扱えば誰にも負けないと言う程だった。
そして彼女、ハトトリー・クイーンは筋力の才覚に恵まれていて、筋力での圧倒的な力を持っていた。
彼女の筋力は誰もが羨むほどの圧倒的な才を持っていた。筋力を扱えば誰にも負けないと言う程だった。
――――だからこそ、彼女は疎まれた。恐れられた。
魔法は良い。魔法技術は彼女に劣ったとしても、他人に教える事が出来る。
武器は良い。武器技術は彼に劣ったとしても、他人に教える事が出来る。
ただ、筋力は違う。筋力は劣り、他人に教える事が出来ない。
ただハトトリー・クイーンは筋力に置いて頂点に居て、誰よりも強かった。故に誰よりも孤独だった。
それでも小学生時代はまだまだ彼女の成長途中の時期だった。
彼女はまだまだ子供で小学生の中ではずば抜けた筋力を持っていたが、その危険性を幼い彼女や周りの人達は理解しておらず、彼女の強さは結局小学生レベルで強いと言うだけで中学生や高校生などに比べるとそこまで大した物じゃなかった。子供でもあった彼女は幼かった故にその強さの異常性を気づけなかった。
でも中学2年生、思春期と言う成長期に彼女の成長は絶世気を迎える。
「何、これ……」
素手で自身の父親を破壊したのだ。
大人の男性、しかも達人クラスにまで自身の身体を鍛えた者の腕を、笑いながら意図も容易く壊す彼女は人々は恐れた。
彼女の周りの者は彼女を恐れて近付かなくなり、彼女は1人になった。
彼女は教室の自身の席で、何も書かれていない机を見ながらその机に頭を押し付けた。
いっそ、誰かがこの机や自身の持ち物に何かいたずらをすれば、彼女はまだ人との関わりがあると信じられたかもしれない。けれど、その圧倒的な筋力による報復を恐れた彼女の周囲の人間はそれさえもしなかった。
一体、彼女が何をしたと言うのだ。
彼女はただ生きてただけだ。彼女はただ成長しただけだ。
彼女は何を恨めば良い。何を呪えば良い。
「私は一体、どうしたら……」
「――――――何もする事が無いのなら、僕様の力になってくれないかな?」
失意にくれる彼女の前に、1人の男性が顔を出す。
その人物は中肉中背の青い髪の男性だった。
青い髪を肩よりも少し長い所まで伸ばし、海を思わせる深い青い瞳を持つ幼い顔立ちの男性。中学校の男子制服を着崩して着ており、その首には銀色のチョーカーを付けている。
そして一番印象的なのは、両腕の代わりに付けられた銀色の義手と、腰に帯びた70㎝ほどの金色の鞘に入った太刀、『一期一振』。
これがハトトリー・クイーンとクロノウス・ウルカニア、初めての邂逅だった。
次回は10月6日0時、投稿予定です。
タイトルは【5章昔話② 「もう少し力加減を学んでよね! 全く……」】です。
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