5章0話『物は、それに相応しい者の所に回って来る』
では、第5章始めさせてもらいます。
と言う訳で、まずはクロノウスの過去話でも。
昔、僕様、クロノウス・ウルカニアは1つの考え方を持っていた。
それはある意味、極論とも呼べる考え方だった。
その考え方とは、
『物は、それに相応しい者の所に回って来る』。
と言う考え方である。
物と、それを持つのに相応しい人間と言うのは、初めから決まっていてどんな事があろうとも必ず相応しい人間に回って来るのである。
例えば例を挙げるとすれば、エクスカリバーなどの伝説の名刀は、それを持つのに相応しい人間しか抜けないとかである。
彼の父がとある資産家から奪った5本の名刀。
ラ・テラ。ウナ・コレンテ。ウナ・フィアマ。ツービネ。イ・シエリ。
以上の5本を父から譲り受けた僕様は、幼い心ながら、
「あぁ、これは僕様には相応しくないなと思っていた」
だから、5本の名刀の持ち主の息子であるレンラ・バルドランジが取り返しに来た時はその時が来たんだと理解した。だから、彼が5本の名刀を取る事を了承した。
あそこまでレンラがこの5本の名刀を取るのに固執してたとは……。と、僕様は思っていた。
両腕を切り落とされた僕様は、父の勧めで病院へと強制入院させられて1人黄昏ていた。
そして、1人の男性と出会った。
「どうやったら両腕が無くなると言う事態になるんだよ……」
と、目の前の男性は両腕が無い僕様を見て非常に戸惑っていた。
その男性はヘッドホンをした高校生くらいの男性だった。右目は赤く、左目は金色と言うオッドアイ。黒い紳士服を着ており、腕には『青春最高!』と書かれた腕章を付けている。
彼こそ幼い頃に僕様が会った、『どんぐりの会』のリーダー、アサセノス・ナハルーパの学生時代の姿だった。
「ともかくこっちへ来い」
と、アサセノスさんは僕様の背中を押して待合のソファーに座らせる。
「あんたには関係ない事だ」
「いや。もしかしたらこの行為によって、クラスメイトがキュン♡となって恋愛フラグが立つかも知れないじゃないか。僕の行為に口出さないでくれ」
「はぁ……」
恋愛フラグとかは当時の僕様は分からなかったが、とりあえず頷いておいた。
「それでもしよろしければ、僕に内容を話してくれないかい?」
「えっと……」
とりあえずこのままでは逃がしてくれないと思った僕様は、彼に事情を説明する。
僕様の考え。
僕様の父から渡された5本の刀。
それを奪いに来た少年。
その少年に両腕を切り落とされた僕様。
そして父による強制入院。
と、僕様が彼に説明を終えると、
「ふむ……。君は『幸福な王子』かい?」
「……はい?」
『幸福な王子』の話は知っている。金箔を全身に張り付けた王子の像が、燕に頼んで金箔を皆に分け与えて最終的にはただの像になってしまう、と言う話だった。
「いえ、僕様はそんな事は考えてないんだけれども……」
「いやいや、君の考え方はそうだろ? 何も固執せずに物を分け与えて、最終的には何も無くなってしまう自己満足の王子でしょ?
あっさり5本の刀を与える君には、相応しい称号ですよ」
「……! てめぇ……! 僕様を馬鹿にしてんでしょ……!」
と、僕様が怒っていると、
「ほいや」
と、アサセノスさんが僕様めがけて義手を2つ放った。僕様は慌てて席に座る。
「これは……」
「僕の友達の博士特製の、からくり義手だ。本来ならば別の人に見せるために来たんだけど、これは君の方が似合いそうだ」
と、彼はそう言って僕様に腕を取り付ける。しかもきちんとした手順で違和感なくはまった。
グーパーするように動かすと、きちんと義手は何の問題なくグーパーを繰り返す。
……ここまで簡単に義手って動かせるんだなと思った。
本当は義手と言うのはそう簡単に動かすのに慣れる物とは違うのだけれども。
「僕は別に君の考えは否定しない。確かに物と言うのは正しき場所にあるべきだろう。けど、完璧には正しいとは思ってないよ。
大切なのは、きちんと分け与える事だ。お互いに迷惑をかけて、お互いに助け合う。
君も将来的にはお互いに助け合えるような関係の人間が増えると良いな。
じゃあな、クロノウス君」
そう言って、彼は病院の外へと帰って行った。
それが僕様、クロノウス・ウルカニアとアサセノス・ナハルーパとの出会いである。
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「……はぁ、夢か」
と、僕様はベッドから覚めて思った。
「やっぱりあの時の、この義手をくれた借りを返さないと」
それに僕様に今の考えを教えてくれた彼の助けになりたい。
……と、僕様は思っていた。
だから彼が所属する『どんぐりの会』に入りたい。
そのためには、
この文化祭をぶっ壊さないとな。
次回は3日後の9月18日0時。
【5章1話 「これはまた……エロい!」】でお会いしましょう。




