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魔剣使いとハーレムと  作者: アッキ@瓶の蓋。
第4章 トラソルクエ学校文化祭

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4章閑話①「異能は魔法と違い」

 文化祭準備初日の夜。

 僕様、クロノウス・ウルカニアはとある喫茶店にスーツ姿で座っていた。

 目の前には注文したコーヒーが湯気を立てているが、僕様はそれに手をつけずに静かに座っていた。いや、僕様の手はびくびくと震えていた。



「お、落ち着け……。大丈夫だ。将来、こんな事ではいけないんだから……」



 落ち着けと言っていても、僕様はふるふると震えていた。仕方ない事だ。だって、僕様が今から会おうとしているのは、僕様の尊敬する組織の人間なのだから。

 そもそも僕様がここに呼ばれたのは、将来会社に来る有望な人間にメンバーが直々に会いに行ってその人物の審査と言う名の面接を行うらしい。そして、自分たちの組織に『未来の社員』として登録してもらえるらしい。所謂、青田刈りである。

 この方法の目的は、何でも自分たちの組織に入れそうにない人間が居た場合、就職活動を有効的に始められるための処置らしい。内定が取れなかった場合、次の内定を探すのに苦労する現代人にとっては嬉しい提案である。さすが、僕様の行きたい組織。

 今日はその面接を受けるためにこの喫茶店に来ていた。

 しかし、憧れの組織の人に会えるとなると緊張する。まぁ、緊張を押さえるために、彼は深呼吸をしていたが、



 カランコロン。



 と言う音と共に男女2人が入って来た。入って来たのは、僕様が望む組織、『どんぐりの会』所属の奇抜な格好のメンバーだった。



 1人は目が惹きつけられる美しい女性だった。

 肩にまで伸びる桃色の髪に、豊満な胸を覆う胸元を過剰に露出させた白いワンピース。そのワンピースの上には可愛らしい鳥のアップリケが付いたエプロンを着ている。

 赤い瞳と髪と同じ色の桃色の兎耳は、彼女に兎と言う印象を強く与えていた。

 僕様と同じくらいの歳くらいの彼女は、後に連れた男性の手を引いてこちらへとやって来た。

 もう1人はヘッドホンをした20代後半の男性だった。

 瞳を隠すようにサングラスをかけ、黒い紳士服を着た男性。腕には『リア充撲滅!』と書いた腕章を付けている。



 そんな彼らは僕様の姿を見ると、その前の席に座った。

 そして、ヘッドホンをした男性は、彼に手を差し伸べる。



「初めまして、クロノウス・ウルカニア君。僕の名前はアサセノス・ナハルーパ。

 『どんぐりの会』の暫定的リーダーを務めさせてもらっている者だ。そして彼女はシワコ・コニアン。同じく『どんぐりの会』のメンバーで、君の面接(・・・・)に来た者だ」



「こ、こちらこそ! 僕様のために時間を割いてありがとうございます! ど、どうぞ僕様の方で金を出しますので、メニューを選んでください!」



 ささっ、と僕様はメニューを渡す。



「あぁ、ありがとう。けれども僕の方が年上の大人なんだからお金は僕の方で払うから。

 じゃあ、僕はコーヒーで。シワコは?」



「じゃあ、私はエスプレッソ、砂糖割り増しミルク多めで。

 あっ、ケーキは私の方で出しますね」



 そう言う彼女の手にケーキやシュークリームなどが現れ、テーブルの上に置いていく。

 頼んだメニューにも驚いたが、彼女の異能にも驚いた。



「これが……異能……」



「異能を見るのは初めてみたいだね。彼女の異能は、『お菓子を発生させる』と言う異能だ。

 これは魔法では何でもなく、彼女が生まれた時から使えた能力だよ?」



 と、僕様が驚いているとアサセノスさんがそう助言してくれた。



「異能は魔法と違い、その人の前世に深く関係した物が次の世代である僕達に発言した物だと考えられる。そして、異能者は前世の記憶を持っており、どうしてこんな異能を持っているかが分かるらしい。具体的には前世の記憶を持つらしい。

 故に今は無いからと言って、前世の記憶を思い出せば異能は誰もが使えるんだ。

 だから、異能を持つ事がこの組織の絶対的な入隊条件ではないと言う事は理解してほしい」



「うっ……!」



 一番、気にしていたのに……。こうもあっさり言われると言う事は、やはりそう言う質問を多く受けているのだろうか? それもそうだな、この組織はある意味とても優良物件なのだから。



 組織内は非常に家庭的で仲間との他愛ない会話が溢れており、それに任務の際はお互いに協力し合うと言う精神が受け継がれている。さらに入隊すると、異能をこの男、アサセノス・ナハルーパが持つ異能で持つ事が出来る。何でも屋と言う事で、沢山の経験が得られる場所。

 今まで持ったことのない力を持つと言う男心をくすぐる提案と、組織仲が良いと言う職場環境。今の1つに絞って仕事をしようと言う社会の中で、現代の組織に失われた様々な事をしようと言う向上心。



「僕様はこれ以上の優良物件を、御社以外に知らないと言うのに! それに新聞で賑わせているあれもピンチをチャンスに変えたと言う事実が、ピンチを巻き起こしたと言う段階までしか伝わっていないと言うだけなのに!」



 これ以上、自分が何かボロを出す前に自身の思いを伝えようと、私はそう入りたい思いを彼らに伝えた。



「人々は辛いのに惹かれますからね。ケーキのように甘い恋愛騒動よりも、ワサビのように辛いスキャンダルが人気なのはそれが原因です。まぁ、皆夢を見れない年頃なんですよ。

 どうして私のように、ペガサスに乗った王子様が結婚を申し込むと言う光景を思い、お菓子の家に住んだり、ドラゴンと友達になったりと言うような事を考えないんでしょうか……」



 シワコさんはそう言っているが、この現代社会でそれはとても甘い提案だなと僕様は思っていた。

 彼女の飲んでいる砂糖割り増しミルク多めのエスプレッソ(来た後自身の手で砂糖とミルクを足していた)も十分に甘いと思うけど。



「シワコ、お前の妄想は相変わらず甘いな。さすが、スイーツ(笑)」



「なっ……! それをアサセノスさんが言いますか! エロい妄想を自身の能力で頭の中全開に入力(インストール)していた癖に! このピンク脳!」



「なんとでも言うが良い! ハハハハハ!」



「くっ……! 今度、進化させてもらう際は必ず攻撃的能力になるよう、歴史改変を……!」



 この2人、本当に仲が良いのだなと、見ていた僕様は思っていたのであった。

 やはりこの組織を選んで良かった。

次回は3日後、9月8日0時投稿予定です。

「4章閑話② 「しかしだからと言って」」を投稿する予定です。

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