4章6話「これで本当に良かったのか?」
家に帰った僕は、鞄を放り投げてソファーにだらしなくもたれかかるように横になる。
「はぁ……執事&メイド喫茶ね」
と言うか、何で僕が執事なんて……。
「大丈夫? レンラ?」
メンルリさんがそう言いながら、僕の目の前にコーヒーを置いてくれる。
メンルリさんは今は僕の居候である。この前の戦闘で自分の家を失った彼女は、今の所次に住む家が見つかるまではうちで預かる事になって居る。
と言うか、一番今大丈夫と指摘すべきなのは……
「そっちの服装の方が大丈夫か、メンルリさん?」
「うっ……。それは指摘しないでよ……。ボクだって恥ずかしいんだからね」
と、メンルリさんはその服を押さえながらそう言う。
只今のメンルリさんの服は、所謂バニーガールである。
赤い兎耳カチューシャに、身体ぴったりに張り付くような大胆な赤い服装。そして、その細い足には黒い網タイツを履いている。お尻の所には小さな丸く白い兎耳の尻尾、いつもは黒い猫の髪飾りも、今日は笑顔の兎の髪飾りが付けられている。
と言うか、そのバニーガールで、小人の衣装として認めるのか?
「しょ、しょうがないでしょ? うちのクラス、演劇でしかもボクは、役者なんだから。身体のサイズが合わないと……演技してる時に気になるし……」
「まぁ、重要だけどさ。そう言うのは、ほら。学校でも……。もっと言えば、身体測定でも」
学校に行っている以上、身体測定とかでおおまかな身体のラインとかが分かるはず。
だったらそれより少し大きめのサイズを作れば、着られると思うはずだし……。
「だ、だって……。ボクは不登校すぎて、身体測定とか出来てないですし。だから大まかな採寸をして、それで着て不備が無いか確かめているんですよ……」
「あぁ、そう言えば不登校だったな」
そうそう。そう言う人だった、彼女は。
「で、大丈夫なのか? その服は?」
見る限りは大丈夫そうには見えるけど、着る感触とは別だし。
「……えっと、実は少し胸の辺りがきつくて……」
彼女はその豊満な胸の辺りに左手を添える。
た、確かに腰回りやお尻の方は大丈夫なようだが、そのディオルーさんと同じくらい豊満で大きな胸は少し吸い付きすぎなくらい引っ付いているように見えなくも……
「……レンラ君、目がHです」
はっ!
気付くと、僕はメンルリさんにジト目で見つめられていた。
しまった! メンルリさんの言葉で視線がつい彼女の胸元へと……!
「す、すいませんでした!」
「……まぁ、良いんですけどね。胸に視線を集中するような事を言ったのはボクだし……。
にしても、レンラ君はHだよね? 女性に興味ないようなそぶりをして置きながら、しっかりと女性の胸や尻なんかをじりじりと観察してるんだし……」
「そ、それは! 男として当然の反応と言うかな……」
いや、ここはどう返せば良いんだ?
女性に興味のない男って事にしたら、余計話がややこしい事になるし……。
「そ、それよりもレンラ君はボクに言う事があるんじゃないかな!?」
「えっ? 今度買い物で買っておくものとかか?」
「…………つーん」
どうやら違ったらしく、メンルリさんの機嫌はさらに悪い物になってしまう。
「もう良いよ。先に自室に戻るから」
とことこと、階段で2階に上って行くメンルリさん。
……そう言えば、まだ言ってなかったな。
「メンルリさん!」
僕は階段で上へと上って行くメンルリさんに聞こえるように、大きな声で彼女の名前を呼んだ。
「……何かな? ボクはもう寝たいんだけど……」
「その衣装、似合ってるよ!」
と、僕は事実を口にした。
当然である。そう言っておけと、学校から帰る前にアスクムが言っていたからな。いや、言い忘れる前に言っておいてよかった。
「……//////」
何故か顔を赤らめるメンルリさんは、そのまま急ぎ足で2階へと向かって行った。
「……なぁ、アスクムよ。これで本当に良かったのか?」
顔を赤らめるほど、メンルリさんが怒っているみたいなんだが。
とりあえず、明日まだ怒って居たら、謝る事にしよう。今度はアスクムと一緒に。
次回は3日後の9月5日の午前0時、「4章閑話① 「魔法は異能と違い」」を投稿予定です。
閑話と言っても、別におまけと言う訳では無いのでご了承ください。




