4章4話「逆卍固めなんて」
8月27日投稿予定、第1弾!
「で、ここに辿り着いたって訳かい? ある意味、滑稽だね。全く」
2年1組。
メンルリさんとクロノウスの教室の中に逃げ込んだ僕は、クロノウスにそう言われていた。
「悪かったな。近かったんだよ、このクラスに」
「別にボクは恨んでないから、安心してよ」
倒れこむ僕の頭をメンルリさんは撫でてくれる。その様子を見て、クロノウスがさらに声をあげる。
「クロノウス・ウルコニアは本当にびっくりしているよ。まさか君達のクラスが執事&メイド喫茶だなんて。下手したら、僕様は君とまた対立する事になった訳だ。
いやはや。演劇にしておいて本当に良かった」
演劇……? こいつのクラス、メンルリさんのクラスは演劇をするつもりなのか?
「もう……。なんで、ボクが白雪姫の小人役なんですか? それも露出度の高い……」
メンルリさんがそう不満気の声をあげる。しかし、メンルリさんは露出度の高い衣装の小人か……。それは楽しみだ。
「仕方ないだろ、投票なんだから。僕様なんてあれだぜ? 森の狩人役だぜ? どこの世界に両腕が義手の狩人が居ますか……」
はぁ……とクロノウスも声をあげる。でも、両腕が義手の狩人って探せば居るとは思うのだけど……。
「仕方ないですよ。人間、諦めが必要です。と、私は思うのだけど」
とそんな事を言い合っていると、クロノウスの右側から籠一杯に刀を入れた籠を背負った女性が現れた。
肩より少し長い辺りまで黒髪を伸ばした、見ているだけで色が変化していく虹色の瞳を持った小柄な女性。小柄ながらあり得ないほど大きな胸の胸元を大きく露出させた水着のような黒いシャツ、その上に羽織るようにして制服を羽織っている。彼女の腕や足、背中には空間転移用の銀色の筒が付けられている。 その女性は否定的な眼で、クロノウスを見ている。
「私が書く脚本上、クロノウスさんは狩人です。しっかり、自分が与えられた役目くらいは果たすのが義務だ。と、私は思うのだけど」
籠を背負った女性は、侮蔑の言葉を言いながらクロノウスの右腕の義手をぺしぺしと叩く。
「痛い! これ、感覚繋がってんだから痛いって! クイーン!」
「それは私には関係ない。私はただ叩きたいから叩いているだけ。と、私は思うのだけど」
女性はそう言いながら、彼の右腕の義手を叩きながら、そのまま彼の左腕の義手も叩く。
「痛い! 尋常なく、痛いんだけど! 本当に! 止めてってば、クイーン!」
「握力200程度しか無い私の手が、痛い訳ないです。それにあなたの腕は身体と神経が繋がっているとは思えないんですけど。と、私は思うのだけど」
なおも彼を叩き続ける彼女。
「なぁ、メンルリさん。あれ、誰?」
「ボク達のクラスメイト、ハトトリー・クイーンさん。クロノウスさんの作り上げた『三発の雷』の1人です。ちなみに今は居ないけど、もう1人揃って、『三発の雷』らしいですよ?」
また変な組織を率いているな、クロノウス……。
と言うか、何だよ。3発の雷って……。
まぁ、出来る限り頑張れよ。クロノウス……。
「痛い! なんでそこで逆卍固めなんて言うマニアックな技で僕様の腕を攻撃しているのかな、クイーン!」
「だから、痛くないでしょ。と、私は思うのだけど」
……本当に何なんだ、あいつらの関係。
次回は8月30日0時、『4章5話 いや、元々僕は将来の職を決めている』です。




