3章14話「ボク、明日からお礼に」
お気に入り登録が100件を突破しました。
皆様のおかげです! ありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いします!
僕達はお屋敷方面にヤヤを探しに行った、アトアグニさんを迎えに行く。
アーリスは倒したから、ここには僕やディオルー達はもう用は無いし。まぁ、メンルリさんもこんな家に居たくないと言う事で、しばらく家が決まるまで本日も少し大きめの僕の自宅に住むらしい。
まぁ、こんな廃墟寸前と言うような家で住むよりは、僕の家の方が良いのだろうし。
「ディオルー、大丈夫か?」
「……え、えぇ。ありがとう。この借りはまたの機会に返しておくわ」
僕の肩を借りながら歩くディオルーは、しおらしい様子でそう言ったのだ。
この屋敷での戦闘は彼女の魔力は底をついてしまったらしく、僕が肩を貸さなかったら1人で歩けないほどである。
僕はウナ・フィアマの魔装、炎蜥蜴の蘇生肌のおかげで大丈夫である。
正直、僕も残ってる魔力もそう多いとは言えない。あの魔装、治せるのは治すのだが本人の意思と関係なく魔力を使うから、あと大きな怪我を2、3発も受けて治していたら魔力が底をついて、倒れていたかも知れない。あと、この魔装には重大な”欠点”があるしな。
「えっと……レンラ君。家に置いてくれて……あ、ありがとう」
「……? まぁ、ディオルーは駄目らしいし。他の2人も話を聞かずに決めたら駄目だろう。
僕は家が大きいから、1人くらいならば大丈夫だし」
正直、感謝されるほどの物では無いし。昨日は普通に使っていたし。
「でも……ありがとう。ボク、明日からお礼に、料理とか家事とか手伝うから! 何でも言ってね!」
「いや、家を探せよ……」
そんな軽口をたたきながら、僕達はお屋敷方面へと帰ったのであったが、
お屋敷の方の惨状は酷い物だった。
「「「……!」」」
僕達全員が倒した戦闘用ロボットの総破壊数は大きく見積もって100体くらいだ。そしてメンルリさんが『300』だとすると、残りは約200体ほど居る計算になる。
1体1体大きさが違う、攻撃方法も違う、そして全て戦闘用に作られたロボット達。
その約200体が、
”全部、木っ端みじんに破壊されていた。”
総勢200体近くのロボット全てが完璧に動けないように、切り刻まれている様は非常に異常で、スクラップ現場のような光景。しかも人の外見をしているのが多く、生首やら手やらが転がっている様は非常に醜悪とも言えた。
これは一体……。
「あっ……! 皆、無事だったんですか!」
「……無事で何より」
と、そんなスクラップ現場紛いの場所で2つの影が動く。
ヤヤとアトアグニさんだ。2人に目立った外傷は無いようで、僕は安心する。
しかし……この2人がここまでの惨状を作り出したとは考えられない。
じゃあ、誰が? その答えはすぐさま分かった。
「おや? 何だい、無事だったか。それは何よりだ。うん、無事でなりより」
扉を開けて入って来たのは、中肉中背の青い髪の男性だった。
青い髪を肩よりも少し長い所まで伸ばし、海を思わせる深い青い瞳を持つ幼い顔立ちの男性。僕達の通うトラソルクエ学校の男子制服を着ており、その首には銀色のチョーカーを付けている。
そして一番印象的なのは、両腕の代わりに付けられた銀色の義手と、腰に帯びた70㎝ほどの金色の鞘に入った太刀。
あの太刀は良く知っている。短刀しか作らないニッコウと呼ばれた刀鍛冶が作った唯一の太刀。
この世界、アアノスの物では無い、別の世界で作ったとされている太刀。
「一期一振……」
「おや? 何だ、レンラじゃないか。だったらわざわざ僕様が来なくても来なくても良かったじゃないか。リクミ先生もそう言う事を言ってから、僕様を派遣して欲しい物だよ」
特徴的な一人称。そして、明らかなる僕の知り合い。
……間違いない。
「……あぁ、後ろのお2人には自己紹介がまだだったね。
安心したまえ。僕様は君達の仲間だ。僕様の名前は、クロノウス・ウルカニア。君達を助けに来たよ」
知っている。
彼の事は、以前から知っている。
クロノウス・ウルカニア。
トラソルクエ学校の2年生。刀の扱いに非常に長けており、自らを僕様と呼ぶ男。
そしてー
僕の持つ5本の魔剣の元所有者。
3章、遂に終わりました。
いや、本当に長くなってしまってすみませんでした。
次回はもう少し学園物らしく、トラソルクエ学校を舞台にしようと思っています。
これからも、もしよろしければ読んでくだされば嬉しいです。
是非、これからもお付き合い願います事を、どうぞお願いいたします。




