3章11話「そこのメンルリさんも同じって事さ」
「まさかここまでやって来るとはね。自宅警備員の人達にもこれだけの気力が欲しい物ですな」
目の前の人物、毛糸で作ってある金色の髪を耳の辺りで揃えた男性。顔は人形が浮かべる作られた笑顔だった。腕と脚の関節はどちらにも人工皮膚が貼られておらず、そこからは機械質なケーブルが姿を見せている。頭には螺子が刺さった笑顔だけの男性、アーリスはそう僕達4人に声をかけてくる。
「アーリス……。最後に作られた299番の人型ロボット……」
メンルリさんはそう言って、レイピアを構えている。
……ん? 『最後に作られた』? でも、あの本の記述だと……。
「ヤヤちゃんは見つかりませんね……」
「……うん。……私、お屋敷……見て来る」
そう言って、アトアグニさんは1人、お屋敷の方へと走って行った。
「厨房が居なくなって、良かった。良かった。いや、人によっては誰得なのか?」
アーリスは1人、納得したかのように言う。
「それにしても、私が最後に作られた人型ロボット? それは正しい表現ではあるけど、お前ら情弱だな。その情報は、ソースが間違ってるよ」
アーリスはそう言って、1つの本を取り出した。どうやら取り出した本は、何かの設計図か?
その本には、赤い大きな文字で『300』と書かれている。
「『300』……。もしかしてそれは、300番のロボットの設計図か?」
「オワコンなんだけどな。いや、これが完成系なのかな?
とりあえず、これは厳密に言えば私達のようなアンドロイドではない、そこのメンルリ・シウテムカのようなバイオロイドの事だよ」
「「バイオロイド?」」
バイオロイド? それは一体?
「ホムンクルスと言った方が良いやすいかな。おk?
そして、最後に大事なのは、我々『001』~『299』までのアンドロイドの事だ」
そう言うと共に、アーリスの後ろから変なロボットが出て来る。
頭も腕も脚も刀の人間。それと合体して形作っている身体には、黒い執事服を着ている。そして、頭に当たる部分の刀には『001』のマークが付けられている。
「そいつは……『001』?」
「記念すべき1号作、スカアーニュ・シウテムカの第1番。ヘーメカトル。
”彼”を見てたら分かるだろ? 私達の父親、スカアーニュ・シウテムカが何を考えて、作っていたのか? 何せ、そこのヘーメカトルは分かりやすい例だから。 DQNでも分かるだろ?」
アーリスはそう言う話を聞きながら、僕はじっとヘーメカトルを見る。
刀は尖っていて、本当に切れそうだ。これまで見たどのロボットよりも……
「遥かに戦闘に特化している。つまり……お前らは戦闘用に作られたのか?」
「Yes。戦闘用に作られた、戦闘のための人型アンドロイド。思考を持って、戦闘を成す。自ら考えて、最良の結果を成すのが私達と言う物だ。
……つまりは、私達は戦争用のアンドロイドなのだ。だからこそ、戦火の中で生きるのが我々だ」
「……い、いえ。わ、私はそんな戦いなんか望んでないですけど……」
と、刀だけのアンドロイド、ヘーメカトルはそんな声をあげる。
えっ? アーリスは彼って? なのに、女の子喋りなんだ?
「良くある、男の娘と言う奴ですよ。ヘーメカトルは。
まぁ、そんなのはどうでも良いんだよ。一番大切なのは、そこのメンルリさんも同じって事さ。おk?」
と、アーリスはニヤリと笑っていた。
アーリスが使っていたネット用語、分からない人もいるかも知れないので解説しておきます。
「自宅警備員」→「ニート」
「厨房」→「中坊(中学生の事)」
「男の娘」→「女の子喋りをする男」
「おk」→「OK」
「誰得」→「誰が得するんだよ」
「DQN」→「頭が悪そうな人」
「情弱」→「情報に弱い人」
「ソース」→「情報源」
「オワコン」→「終わったコンテンツ」




