3章8話「くっ! 人間さんが怒ってらっしゃるので」
本当はテストの後にやるはずだったのですけど……。
少しやらせていただきます。
「重力装置、開始いたす」
アアノスはそう言って、右足に付けられた地球儀が回転する。そして彼女は飛び上がる。
彼女は背中に背負った大きな水瓶を私めがけて落としていく。
「……っ!」
私は水の防御膜を作り出して、その水瓶を防ぐ。
「熊爪攻撃」
バル君は熊のような爪で向かって来る。私は水の球をバル君に当てる。熊のぬいぐるみは意外にも硬いようなので、水の球を受けても少し後ろに下がるだけであった。
「さぁさぁ! 早く振り袖を着させるために倒してくださいよ! 2人とも!」
……ガイオンは本当にぶれませんね。無駄に容姿がカッコいいですし。
「くっ! 人間さんが怒ってらっしゃるので、早めに倒すとしますかね!」
アアノスの地球儀はまたしても回転し、水瓶が宙へと浮かぶ。それと共にバル君が私の元に向かって来る。
バル君の背中のポンプから空気が送り込まれており、バルーンが膨らんでいく。
「バルーン、フェスティバル」
バル君はバルーンを私の方へと発射する。
「……って、別にそれは痛くないから!」
私はバルーンを避ける。
「重力落としの地球儀蹴り!」
そうこうしている間にもアアノスは重力を操作して上空へと向かって行き、そのまま地面に落ちて行く。
「いつまでも……やられている訳には行きません! だから……魔力を多く消費するけどこの魔法で!」
私は魔力で大きな龍を作り出す。大きな水龍は生命を得たかのように、生き生きとした勢いで動いていく。そしてその龍をアアノスへと発射する。
「放て、大水龍!」
水龍はアアノスへと向かって行く。そして、アアノスは水の龍にまともに喰らって、地面へとそのまま落下した。
「キキキ……。カカカ……。『176』のアアノス……機能を……停止……いたします」
「アアノス! 貴様、良くもアアノスを!」
バル君はそう怒っているような口調だが、いかんせん熊のぬいぐるみなために真剣みにかける気がする。
「俺の超絶武具を見るが良い!」
バル君はそう言って、『212』の番号がかかれた宝箱を開ける。
「あの中って……何が入ってるんでしょう?」
もしや追加装備とか? いや、わざわざ熊の爪を装備しているのに、それは……。
「喰らえ、俺のチェンソー攻撃を!」
バル君が宝箱から取り出したのは、普通のチェンソーだった。
ってか、熊のぬいぐるみがチェンソーを持ってるって……変な装備でしか無いんですけど。
「さぁさぁ! 早く振り袖を着させてくださいよ! ディオルーさん!」
またしても……それですか。それしか無いんですか、ガイオンさん。
「チェンソー・ベアーズ!」
バル君はそう言って、チェンソーを持って回転しながら向かって来るバル君。
「……うっ! もう魔力が……!」
さっきの技は私の中でもかなりの魔力を使う大技。もう私にはほとんど魔力は残っていないんですよ。
「ここまで……!」
「死ね、熊のように!」
バル君はそう言って、チェンソーを振り回しながら私へと向かって来る。
(ここまで……なの?)
私はそう思って、目をつむる。
「……横炎斬り!」
「がはっ……!」
しかし、バル君の攻撃は当たる前に親しいあの人の言葉と共に吹っ飛んで行った。
私は目を開ける。バル君は、彼の攻撃で火炎に包まれていた。
私は目の前の彼の名を呼ぶ。
「れ、レンラ!」
「おう、大丈夫ですか? ディオルー?」
彼、レンラは火炎を纏った白と黒の双剣を持って、私の前に立っていた。
「ちっ……。使えねえな」
「に、人間!」
バル君は火炎塗れになりながらも、近くに居たガイオンに助けを求めている。
「俺はな、振り袖女性以外は仲間しか助けねぇって決めているんだ」
ガイオンはそう言って、その大きな大太刀をバル君に突き刺した。
バル君はそのまま電光を放ちながら動かなくなる。
「ふーん。騎士様、参上って所か?」
「そんな大層な物じゃねえよ。ただの魔剣士だ」
レンラ君はそう言いながら、双剣を構える。
「そちらが仲間を呼ぶなら、こちらも仲間を呼ぶとするか」
彼はそう言って、その大きな赤い賽子を見る。賽子は何も触れていないのに、いきなり宙に上がって回転し始めて、『4』と言う数字を出した。
「これが俺の、『自在にサイコロを操る』異能の正しい使い方だ」
そして、ガイオンの持つ赤い太刀の姿が変わる。
カクカク、カクと。
大太刀がまるでルービックキューブのように、変形していく。
そしてー
「モード、4。大砲モード」
そして、赤い太刀は赤い大砲へと変わった。ガイオンはその赤い大砲を天井目がけて撃った。
ゴォウ!
爆発音と共に、天井から1人の女性が現れた。その女性の肩には腐りかけのゾンビの姿があった。
「ロボット的に即参上。コヨル・テミンス、今爆誕」
彼女はそう言いながら、右腕のチェンソーを作動させる。作動すると共に、そのチェンソーから何かが飛び出す。
「ロボット的に派手なパフォーマンス。特殊ガラス膜、爆発」
彼女の後ろで、まるで特撮ヒーローのごとく、大きな爆発が起こり煙が上がる。
「コヨル、敵がいる。少し手伝ってくれ」
「了解。恐らく振り袖を着させるためと言うくだらない理由だとは思いますが、手伝わせていただきます」
「いや、肩にゾンビ載せている君の方が可笑しいって」
「あぁ、これですか?」
そう言って、私目がけてコヨルはゾンビを投擲して来ました。
「だって、死体萌えですから。私以外は」
ゾンビはゆっくりとこちらに向かって来る。その姿がなんとおぞましい事か。
腐りかけの身体が、ごみのような腐卵臭を放つ、ゾンビがこちらへと向かって来る。
「誰が死体萌えだ」
レンラがその死体を炎の双剣で燃やす。
「おぉ、死体”燃え”か」
「上手い事、言った気ですか? ガイオンさん? ロボット的に考えて、それは全然上手くないですから」
そして、ガイオンは大砲をこちらへと狙いを付けて、コヨルはチェンソーの刃先をこちらに向けていた。




