2章6話「おいしいキノコ、採ってきます!」
『マクウエ~、マクウエ~。お出口は左側です』
それから1時間後。
電車はマクウエに到着した。
「はぁ、木が高いな」
「マクウエの木は多雨気候によって植物の成長が異常なまでに早いんですよ」
僕、レンラの質問にヤヤが答えてくれた。流石、優等生な事はあるね。
駅から降りるとマクウエ名物の大きな木が僕達を迎えてくれた。
木が沢山生えているうっそうとした森で、可愛らしい兎や猫の魔物が沢山居る。
「さて、キャンプの設営と行くわよ」
「……うん」
ディオルーが笑顔で腕を上に上げると、アトアグニさんが無表情に手をあげる。
「じゃあ、キャンプの設営場所を探しに行きましょうか」
アスクムの言葉と共に、僕達はそのまま歩き出す。
「おっ、魔物だ」
沢山の蟹型の魔物、水を纏った蟹のマイアッハが僕達を取り囲んだ。
「マイアッハ……。確か海岸辺りで良く見られる魔物のはずなんですけれども……」
「ヤヤの言う通りだね。確かに蟹型の魔物は海などの水系の魔物だし。
でもこの生物、変種じゃなくって今と同じですね」
岩の蟹や闇の蟹とかの変種じゃない、普通の水系の魔物ですし。
「まぁ、こんなのは一瞬だ」
この前活躍出来なかった僕は、今度はやろうと僕は水の半透明の太刀を構える。
2の太刀、ウナ・コレンテの魔装で瞳が青く染まる。そして太刀に水を纏わせて、そのまま太刀を水に沿わせるように動かす。所謂、居合斬り。
居合斬りによって、マイアッハの5体は身体を真っ二つにされて倒された。
「火炎の柱で魔物を殺す! 喰らってください、火炎柱!」
「水の光線によって全てを洗い流す! アクアレーザー!」
残り20体ほどのマイアッハはヤヤとディオルーの2人による炎と水の魔法連撃によって、倒された。
なるほど。アスクムがこの前、言っていた通りだ。2人は協力して戦うのは綺麗だが、争うのだと向いていない。
そして、協力して出来た炎と水の共演は、幻想的だった。
「いやはや。立つ瀬がないね、アトアグニさん。まぁ、アサシンなんて出番がないだけ、世界も平和って証だけど」
「……そうだね」
そのまま数分歩くと、それなりに広い場所を見つけた。
「アスクム、キャンプをここでするからテントをくれ」
「はいはい、レンラ。親友使いが荒いね、全く。まぁ、友達を頼らない人よりはマシだけどさ」
そうぶつくさ言いながら、アスクムはシルクハットからテントを出してくれた。
さて、設置にかかろう。
クイクイ。
「……ん?」
袖が引っ張られる感触がした僕は、そっちを振り向く。
そこにはアトアグニさんが居た。
「……手伝う」
上目使いのアトアグニさんは、その低身長も相まってとっても可愛い。まぁ、手伝ってくれるなら助かるってもあるけれど。
「じゃあ、お願いするよ。
アスクムは薪木とかの調達。そして、ヤヤとディオルーの2人には食料調達を任せたわ」
僕がそう言うと、3人は三者三様のリアクションを見せる。
「りょ、了解です! おいしいキノコ、採ってきます!」
「この辺りは魚がおいしそう……。べ、別にあんたのためにおいしい魚捕るんじゃないんだから! あくまでもついでよ、ついで!」
「任せな、レンラ。君の友達は、要らないと思えるほど大量の薪木を調達してこよう」
そう言って、3人はばらばらに別れた。
「さて、アトアグニさん。僕は組み立てをしますから、アトアグニさんは布の方を……」
「……わざと……でしょ?」
「……!」
実はアトアグニさんの指摘通り、彼女に布を任せようとしたのは意図的である。組み立ては力が居るし、少し危険だと言う、僕なりの配慮なのだが。
どうやらその配慮は余計なお世話だったみたいだ。
「……手伝うから……一緒にやろう」
「……はい」
そして、僕は2人でテントの組み立てを始めた。




