2章3話「えぇ! 全然気づかなかった!」
「……マクウエは……私の故郷」
ぎりぎり間に合わなくて、次の電車に乗った僕達は互いに自己紹介を再び言って、フォルセピア・アトアグニの事情を聞く事にした。
「……故郷の危機……黙ってられない」
「なるほど。エルフは家族を大事にする種族って授業に習いましたし、故郷の危機だったら気になってしょうがないでしょうね」
ヤヤは学校で習った事を思い出すように言う。ヤヤは優等生だから、覚えているのも当然でしょうね。
「コクコク……。セレネオスが……騒いでたし……」
「私?」
「……同じクラス」
「えぇ! 全然気づかなかった!」
おい、可哀想だろ、ディオルー。そこまであからさまなリアクションを出すなよ。
ほら、ちょっとアトアグニさんなんか涙目じゃないですか。
「まぁ、良いんだけどさ。マクウエを襲われたのはちょっとした集団が関わってるみたいですよ」
と、アスクムが言う。
「……フレイアトか」
「へいへい、駅弁全制覇のアスクム君のご登場だよ~」
さっきまで黙っていたのは、駅弁を食べていたのかよ。まだ頬にご飯粒が付いているじゃないですか。
「ちょっとした集団? なんだ、世界征服を目的とする集団とか?」
「いや、そんなありきたりではないんだよ、レンラ。
むしろどちらかと言えば、便利屋かな。金を渡せば、大抵の事をやってくれる組織。
その名も……『どんぐりの会』」
「『どんぐりの会』? なんだ、その変な名前の組織は」
どんぐりと言えば、秋とかそんなイメージだけど。
「あぁ、『どんぐりの会』ね。最近、噂の残念な異能集団でしょ?」
と、ディオルーが言ってくる。なんか関わり合いになりたくない組織である。
「確か噂だと、持ってても役に立たなさそうな異能を持っているキャラが強い6人組でしょ?
社会で変人認定されているという組織でしょ?」
「……社会全体で変人認定されている組織なんてどうなんでしょうかね」
出来るだけ関わりたくなりたくないな、本当に。
「……そんな組織に……私の故郷が……」
酷い言われようだ。
「まぁ、とりあえずは戦う体勢を決めよう。まぁ、前衛は僕(魔剣士)とアスクム(アサシン)の2人、中衛はヤヤ(魔法使い)とディオルー(魔法使い)。後衛はアトアグニさん(弓使い)で行きましょうか」
まぁ、結構これで良いかなと思っていると、
「やっぱり電車で待つのは不正解だったわね。シワコさんが言うように、中で待つべきでしたわよ。やっぱり」
「ふはははっ! 助手よ! これも機関の陰謀だ! だからわしは悪くない!」
なんか前から変な2人組が歩いてきた。
男と女の2人組。男の方は頭に魔女の被るような魔女帽子を被った白衣を着た無精髭を生やした男性、女の方はスーツケースを3個ほど引きずっている赤いツインテールと碧眼が特徴の女性。
なんかキャラが濃そうだ。
「まぁ、アサセノスさんがマクウエ襲撃から帰ってくるんですから皆で迎えに行かないといけないでしょうよ。はぁ……今度はどんな格好をしてもらえるか楽しみよ」
「ふははっ! そう言えば、レンラ・バルトレンジと名乗る人間が率いる集団が、マクウエ救済作戦を開催しようとしてるみたいだぞ!
例えば……あの集団とか!」
そう言って、男は薬品を僕達めがけて投げつけた。
「危ない! フレアボール!」
ヤヤがその薬品を魔法で作った炎の球で破壊する。
「やれやれ。やりすごせるかと考えたんだが……そう言う訳にはいかないらしい」
これは明らかな攻撃だ。
僕は半透明の太刀を構え、アスクムはシルクハットから短刀を取り出す。ヤヤとディオルーがそれぞれの杖を握りしめ、アトアグニさんが弓矢を構える。
僕は彼らに話しかける。
「貴様らは何者だ、もしや『どんぐりの会』か!?」
すると、2人はにやりと笑う。
「その通りだ。『どんぐりの会』、メンバー005、シヴァ・バスレイヤ。
異能は『です・ます口調で無理矢理しゃべらせる』!
貴様らの中二力、図りきって衆目の目に晒してくれよう! ふはははははっは!」
「同じく、『どんぐりの会』、3人目のメンバーのクナピト・モナザよ。
異能は『髪と瞳の色を自由自在に変える』!
大丈夫、貴方たちの分の衣装も用意してるわ。きっと似合うから大丈夫!」
そう言って、男性の方、シヴァは薬品を持ちながら高らかに笑い、女性の方、クナピトはスーツケースから巫女服やメイド服などを取り出して見せてくる。
……ダメだ、奴ら。
まともじゃない。
しかも2人とも。
異能が残念すぎる。




