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ピンクサンドホライズンで、映画3選を。

作者:聖稲
 2026年4月、東京・下北沢のミニシアター「ピンクサンドホライズン」は、家賃滞納の掲示を出し、5月末で閉館すると告げる。映像編集で食べている光希は、貼り紙の前で思わず「席を埋めれば終わらない」と口が滑り、居合わせた陽咲に袖をつかまれる。陽咲は手帳に「今日、知らない場所で一つ話しかける」と書いては消し、また書き直していた。

 六人は、ロビーの騒動を笑いに変えながら、紙のチラシで客席を増やす。カフェと古着屋には「店員が一言添えて渡せる」形で置き、上映後には三本立ての“おすすめ三選”を毎回更新する。洋利は泣いた直後にポップコーンをこぼし、萌愛花は止まらないおしゃべりで差し入れを増やし、智砂は「残量」を0〜100で書いたメモを全員に配り、30を切ったら無理をしない合図にする。星樹は帰り道に反省ノートを開き、翌朝には同じ場所へ戻ってくる。

 ところが中盤、星樹が外部に渡したデータが火種になり、館長が誰にも言えず抱えていた契約の穴まで露わになる。星樹は言い逃れせず、閉館までの掃除とチラシ配りを一人で続ける。夜のロビーでその背中を見つけた陽咲は、声をかける言葉を手帳で選び直し、光希は「手伝え」と短く言って並ぶ。編集室では徹夜が続き、陽咲の「感情のバッテリー」が5まで落ちる夜もあるが、光希は温かいスープを黙って置き、翌朝に「君の目標から決めよう」と言い直す。

 閉館まで残り一か月、六人は短編映画「感情のバッテリー」を撮り始める。初上映の前日、星樹はロビーで自分の件を客に話し、「許してくれ」ではなく「ここに居させてくれ」と頭を下げる。閉館予定日の前夜、店々の協力で差し入れが並び、満席の館内で短編が流れ、拍手が波のように広がる。館長は小さく「閉めない方法を探す」と口にする。翌朝、光希は陽咲に「君の違いが、客席を増やした」と伝える。陽咲は新しいページに「過去を越えて生まれる新しい愛」と書き、今度は消さない。
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