表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイドさんのマモノ図鑑  作者: 吉良 鈴
はじまりの大陸

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/107

#71 Q&A


Q. ドッカンドッカンぶつかってるあれ、何?


誰かが言った。 誰かが答えた。


A. たぬまり


爆走する影が、ボスマモノの周囲を縦横無尽に駆け回っていた。 ただ走っているわけではない。スキル発動の予兆が見えれば、タイミングを見計らって突撃し、キャンセルさせる。大振りの攻撃が来れば、足元にぶつかって転ばせる。


「ぶつかってるように見えるけど、あれ、完璧なタイミングで当ててるよな」

「戦闘職でもいけたんじゃないのか?」

「センスあるな」


夢見亭のメンバーは、驚きと感心を隠さずに言葉を交わす。 たぬまりは、空を駆けながら、ボスの動きを見ていた。スキルの予兆、足の動き、咆哮のタイミング。すべてを読み取って、最適な角度で突撃する。


「よし、今!」


突撃。衝撃。爆風。 ボスがよろめき、スキルがキャンセルされる。仲間たちが一斉に攻撃を重ねる。


ツバキが前衛で斬り込む。 炎の中を駆け抜け、ボスの脚に一閃を浴びせる。サキがその隙を突いて横から回り込み、槍で関節を狙う。モモの魔法が空を裂き、雷の柱がボスの背に落ちる。ひがちーの狼が吠え、牙を剥いて突撃する。こまちの精霊がポーションを構え、支援に備える。


たぬまりは、空中からその様子を見ていた。 仲間たちの動きは、まるで舞台の群舞のように美しい。けれど、ボスの動きも鈍ってはいない。咆哮とともに、地面が揺れ、溶岩が噴き出す。


「たぬまり攻撃しすぎだ!」

「ヘイト取っちゃってるから回避に専念して!」


「……ヘイトってなんぞ?」


たぬまりは、ぽかんとしていた。 普段戦わないので、そういった知識がない。ゲーム用語も、戦闘理論も、あまり詳しくない。


「今日は盾ないから落ちたらスマン」


サキが、ボスからヘイトを集めるスキルを使った。 すると、ボスの攻撃がサキに向かう。たぬまりは、空中からその様子を見ていた。


「……サキ、ちょっと危ないかも」


たぬまりは、マモノ図鑑を開いた。 ページが光り、風が巻き起こる。


「《蔓の抱擁》!」


蔓がサキの身体を優しく包み込み、防御効果が発動する。 白い光がふわりと広がり、サキの動きが安定する。


「よし、次!」


たぬまりは、図鑑をもう一度開いた。 今度はクラジェルを呼び出す。


「《群体連携》!」


クラジェルが空中に浮かび、仲間たちの周囲に電気の膜を張る。 仲間が多ければ多いほど効果が上がるスキルらしい。今回のようなレイド戦にピッタリでガンガン攻撃力が上がる。


風が巻き、雷が走る。 全員の攻撃力が上がり、ボスマモノのゲージがガンガン減っていく。


ボスが吠える。 地面が割れ、炎が噴き出す。尾が振り回され、ツバキが吹き飛ばされそうになる。サキが踏ん張り、モモが防御魔法を展開する。ひがちーの狼が盾となり、こまちの精霊がポーションを投げる。


たぬまりは、空から旋回しながら支援を続ける。 図鑑を開いては、仲間の動きに合わせてスキルを発動する。防御、回復、強化。爆走は控えめに、今は支える側に回る。


「ナイス連携!」


ツバキが叫び、サキが槍を突き立てる。 モモの魔法が炸裂し、ひがちーの狼が吠える。こまちの精霊が光を放ち、たぬまりは空から次の支援を準備する。


ボスが咆哮し、最後の火球を放つ。 けれど、夢見亭の陣形は崩れない。サキが受け止め、ツバキが斬り返し、モモが雷を落とす。ひがちーの狼が吠え、飛び掛かる。


たぬまりは、図鑑を閉じて深く息を吐いた。 仲間たちの動きは、もう完璧に噛み合っている。自分が支えたというより、みんながそれぞれの役割を全うしているだけ。

ボスマモノは、それはもうタコ殴りにされている。可哀そうなレベルでやられている。


そして—— 抵抗することもできなくなったボスの身体が光に包まれ、静かに崩れ落ちた。


【サバイバルイベントはクリアされました】

【評価:Aランク】

【参加者全員にAランククリア報酬が贈られます】

【ランキング上位者にはクリア報酬とは別途で報酬が贈られます】

【イベントエリアは3日目の夜まで解放されます。引き続きお楽しみください】


画面に、アナウンスが表示された。 ボスマモノ戦に参加した全員、興奮の冷めやらぬ様子で楽しそうにボス戦の感想を語っている。


「キャンプファイヤやって解散だー!」

「準備だー!食料集めろー!」


夢見亭のメンバーが、焚き火の周りで騒いでいる。 くま精霊が踊り、薪を集め、火を起こし、食材を並べる。誰かが魚を焼き、誰かがスープを煮ている。笑い声が絶えず、空気は柔らかく、温かい。


たぬまりは、少し離れた場所からその様子を見ていた。 空は夕焼けに染まり、波の音が静かに響いている。


「……あぁ、良い空気だな」


そう呟いた声は、風に乗って、焚き火の灯りに溶けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
テンションハイのたぬまり最強説
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ