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メイドさんのマモノ図鑑  作者: 吉良 鈴
はじまりの大陸

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#67 爆走

「こういうサバイバルって、動画で見たことあるんだよね」


たぬまりは、ジャングルの木陰でしゃがみ込みながら呟いた。 画面の向こうで配信者が石を削って斧を作っていたのを思い出す。あれ、参考になるかも。まずは刃物が要る。斧があれば、木も切れるし、素材も集めやすい。


「尖った石、尖った石……」


地面を探していると、ちょうど良さそうな石を見つけた。 手のひらサイズで、片側が少し尖っている。これをさらに加工すれば使えるはず。近くの岩にぶつけて、先端を薄くしていく。カン、カン、と音が響く。


「ここで薄くしすぎてはいけない……って言ってたな」


慎重に角度を調整しながら、石を削る。 やがて、刃のような形になった。次は柄。その辺に生えている蔓を引き抜き、木の棒に石を固定する。ぐるぐると巻きつけて、最後に結び目をきつく締める。


「よし、斧の完成!」


たぬまりは、得意げに斧を構えた。 まずは試しに、近くの木の皮を軽く剥いてみる。斧を当てて、力を込めると——


「おっ、できた!」


木の表面がめくれ、薄い皮が剥がれた。 「このゲーム、木の皮剥けるんだ……」と驚きながら、剥がした皮をポケットに突っ込む。何かに使えるかもしれない。


次は、木を切り倒せるか試してみよう。 お手製の斧で幹を叩くと、しっかり傷がついて切れ込みが入る。何度か繰り返すと、木がぐらりと揺れた。


「これは……いける!」


時間はかかったが、一本の木を見事に倒した。 その瞬間、画面に通知が表示された。


【イベントアイテム「木霊の核」を発見しました】 →専用スキル抽選を開始します


「え、木の中から出てくるの?なんで???」


疑問は残るが、スキル抽選が始まった。 表示された三つのスキルの中から、たぬまりは「疾風の歩み」を選んだ。移動速度が少し上がるらしい。


「……ん?これ、走る系?」


ふと、たぬまりの中で何かが閃いた。 このフィールド、広い。移動が多い。なら、走るのが早ければ、それだけで有利になるのでは?しかも、イベントアイテムからスキルが手に入るなら、木を倒しまくればいいのでは?


「よし、走りに極振りしてみよう!」


たぬまりは、次々と木を倒し始めた。 斧を振るい、幹を叩き、木を倒すたびにイベントアイテムが出てくる。スキル抽選では、移動速度アップ系、走行中のポイント加算系、走行中のマモノ撃破ボーナス系などを選び続けた。


だが、あるときふと気づく。


「……待って。木を倒すの、時間かかるな……」


もっと効率よくイベントアイテムを集める方法はないか。 たぬまりは、フィールドを歩きながら、地面に落ちているキラキラしたものに目を留めた。小さな光の粒が、草の間にちらちらと見える。


「この小さいのなんだろ……」


近づいて拾ってみると、画面に通知が表示された。


【イベントアイテム「風のかけら」を発見しました】 →専用スキル抽選を開始します


「落ちてるの!?!?」


そこから、たぬまりの探索スタイルが一変した。 木を倒すのはやめて、地面を見ながら走り回る。草むら、岩陰、滝の裏、浜辺——あらゆる場所にイベントアイテムが落ちていた。


拾ってはスキル抽選。拾っては選択。 移動速度アップ、走行中のマモノ撃破ボーナス、走行距離によるポイント加算、走行中のアイテム発見率上昇、走行中にHP回復、走行中にスタミナ消費減少——すべて走ることに関係するスキルを選び続けた。


「ふふふ……ふははははは!!」


たぬまりは、島中を爆走し始めた。 ジャングルの木々をすり抜け、浜辺を駆け抜け、山の麓を一気に登る。マモノが現れれば、突撃して吹き飛ばす。画面には「クリティカル!」「撃破!」「ボーナス加算!」の文字が次々と表示される。


「ポイント、めっちゃ入ってる……!」


走るたびに、イベントポイントが跳ね上がる。 他のプレイヤーがミッションをこなしている間に、たぬまりはただ走っているだけで、次々とポイントを稼いでいった。


「これ、最強では???」


夕方になる頃には、たぬまりのポイントは他のクランを大きく引き離していた。 夢見亭クランのメンバーが集まって、ランキングを確認すると——


「えっ、たぬまり、トップじゃん!?」

「一日目でこの差って……」

「何したの!?」


「走った」


たぬまりは、笑いながら答えた。

「爆走したの。楽しかった。」


こまちが目を丸くし、ツバキは頭を抱えた。 サキは笑っており、ひがちーは「爆走してた人、たぬまりだったんかい」と呟き、モモは納得していた。


焚き火の前で、たぬまりは足を投げ出して座った。 一日中走り回ったせいで、さすがに疲れている。けれど、画面に表示されたポイントの数字を見ると、満足感がじわじわと湧いてくる。


「むふふ……明日も走るか」


その声は、波の音に混ざって、夜の島に溶けていった。 たぬまりの爆走は、まだ始まったばかりだった。

ドンキーコングバナンザのエメラルドラッシュ、中毒性とか爽快感が頭から離れません。ずっとDKアイランドにいます。

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