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メイドさんのマモノ図鑑  作者: 吉良 鈴
はじまりの大陸

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21/107

#21 二度あることは三度ある

「えー……カメラ映ってる?これでいいのかな」


画面がゆるやかに揺れ、夢見亭のソファが映る。

たぬまりがもぞもぞと姿を現し、配信が始まった。


「みんな、おはよ……じゃあ、おやすみ」


そのまま、ふわりとソファに丸くなって寝ようとする。

画面の端に、たぬまりの帽子の葉っぱがぴょこりと揺れた。


【コメント】

待て待て

寝るなw

寝息たすかる

たぬまりちゃん、起きて〜!

配信開始3秒で寝るとは

これはこれで癒し枠

たぬき草


たぬまりは目を閉じたまま、コメント欄など見ていない。

ソファのクッションに顔を埋めて、完全に寝る姿勢だった。


そこへ、通りすがりのこまちが現れる。


「たぬまりちゃん、見てる人が起きて〜って言ってるよ?」


たぬまりは、ぴくりとも動かない。

こまちは肩をすくめて、静かに去っていった。


そして——


「たぬまり、食材取りに行くぞ」


ツバキが現れ、何の前触れもなくたぬまりを猫のように持ち上げた。

ふわりと浮かぶたぬまりの体。帽子がずれそうになっている。


「メインで使う食材が無くなりそうだ。補充だ」

「……なぜ!?」


たぬまりは、抗議する。

しかし、持ち上げられているので抵抗できず、大人しく運ばれていく。


カメラはその後を追い、配信は続く。


【コメント】

連行www

たぬまり、持ち運ばれてる

ツバキさんの腕力えぐい

このゲーム、物理が強すぎる

たぬまりの顔www




やってきたのは、霧の街ミズノハのボスエリア。

薄い霧が立ち込め、地面は湿っていて、空気は静かだった。


「次の街の周辺には、魔物も採集ポイントも多い。よく使う食材をたくさん採っておきたい」


ツバキは淡々と説明する。

たぬまりを連れてきた理由は、暇そうだったから、配信中だったから、ミズノハの先に行ってないから——

色々あるが、最も大きな理由は「たぬまりを連れていくと何か面白いことが起きそうだから」だった。


「たぬまりには悪いが、今回はちゃっちゃと倒す」


そう言って、ツバキは前に出る。

霧の中から現れたのは、羽根の生えた獣型マモノ。

その体は湿った毛皮に覆われ、背中には風を操る膜状の翼が広がっていた。


《風獣ヴェルガ》


風と霧を纏い、突風で相手を翻弄するマモノ。

だが、ツバキにとっては相性が良かった。


ツバキは鍋を構え、ユニークスキル《料理魂》を発動。

鍋が光を帯び、魔力の盾となってマモノの突風を受け止める。

次の瞬間、包丁が浮かび上がり、光の軌跡を描いて斬撃を放つ。


マモノは、霧の中で一閃され、静かに崩れ落ちた。


【コメント】

え、もう終わった!?

料理魂、戦闘でも強すぎる

鍋で受けて包丁で斬るのかっこよすぎ

ツバキさん、ボス戦で手加減なし

たぬまり、何もしてないw



マモノが倒れた瞬間、たぬまりのマモノ図鑑がふわりと光った。


【マモノ登録完了:風獣ヴェルガ】


■生態:不明

■属性:霧/風

■備考:観察不足のため詳細データ未取得


「倒しても登録されるんだ……でも、中身がほぼないな」


たぬまりは図鑑を眺めながら、少しだけ首を傾けた。

どうやら、倒すだけでも登録はされるが、観察が足りないと情報が不完全になるらしい。

マモノ図鑑の仕様が、少しだけ分かった気がした。



宣言通り、ボスをさくっと倒して、次の街へ。


森と街が一体となった、不思議な場所だった。

その名は「リーフェン」。


木々の間や枝の上に家が建ち、根元には水路が流れている。

建物は木材と蔦で編まれていて、風が吹くたびに葉がさざめく。

空中に吊るされた橋や、木の幹をくり抜いた回廊など、まるで森そのものが街を育てているようだった。


転送クリスタルに登録し、休む間もなくツバキに連れ回される。


「畑や牧場が多いユメノネで汎用性の高い食材は買えば良い。それ以外はリーフェンだ」


そう話しながら、自然の恵みを採取していく。


「休むな。動け」

たぬまりが手を止めると、すかさずツバキに怒られる。


しかし、採ったものはその場でツバキに見せれば、食材かどうか判断してくれるのでその点は楽ちんだった。




リーフェン周辺で見つけた食材

• クルミ草:実が香ばしく、炒め物に向く

• ツルベリー:酸味のある果実。ジャムに最適

• 木の実茸:木の根元に生える茸。煮ると甘みが出る

• 風葉:風に揺れると香りが立つ葉。乾燥させて香辛料に

• 星苔:夜間に光る苔。乾燥させて砂糖漬けに

• 森の卵:野鳥の卵。小ぶりで濃厚

• ひかり樹液:光る樹から採れる甘い液体。蜂蜜の代用にも

• 木霊豆:木の精霊が落とす豆。煮ると魔力が回復する

• 葉の実:葉の先に実る珍しい果実。酸味と甘みが両立

• ルミ根:森の奥に生える根菜。加熱すると淡く発光し、滋養がある




たくさん採って、もう帰りたいな……と思った頃。


「最後のところに行くぞ。静かにな」

ツバキの声に、たぬまりはびくりとする。

まだ、やるのか……。


コソコソと草葉の陰に隠れながら、たどり着いたのは——


巨大な蜂の巣だった。

いや、これはもう城。

木々の間にそびえる、きんきらピカピカ黄金色の巣の塔。

無数の蜂型マモノが飛び交い、蜂蜜がとろりと滴る。


いやなんで、このゲームこんなきらきらしてる所が多いの??ここが1番人の手が加わってないけど金ピカは三度目だよ?


「非常に好戦的で、大きな蜂のマモノがたくさんいる。だが、良質な蜂蜜が取れる」


ツバキは真剣な顔で言う。

「そこで、たぬまりなら上手いこと戦闘を避けて、いっぱい蜂蜜をゲットできるのでは?と思ってな」


いやー、えー?厳しくない?

たぬまり、こんなに好戦的なマモノ初めてだよ?


草陰から巣を見上げながらたぬまりは作戦を考えるのだった。

毎年、自宅に蜂の巣が作られそうになります。

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