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メイドさんのマモノ図鑑  作者: 吉良 鈴
はじまりの大陸

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16/107

#16 まほーしょうじょ

【妖精魔法を取得しました】


アナウンスの音で、たぬまりは目を覚ました。

まぶたの裏に残る光の粒が、まだきらきらと揺れている。


「……ん?」


ステータス画面を開くと、新しい項目が追加されていた。


《まほー:きらきら》

• 効果:周囲に微細な光粒を発生させ、一定時間ごとに微量のHPを回復する

• 補足:視覚的に美しい。癒し効果あり。妖精との親和性が高い


「ゆるい……」


今のところ、たぬまりが使えるのはこの《きらきら》だけのようだ。

でも、今後増えていきそうな気配があるが、アナウンスは妖精魔法と認識しているのに魔法自体はまほーってなんだか気が抜けるなぁ。


続いて、もう一つのアナウンスが表示された。


【進化条件が満たされました】

【マモノ図鑑が進化します】


たぬまりの手元にある図鑑が、ふわりと光を放つ。

表紙の装丁が変化し、柔らかな革のような質感に。

角には金属の装飾が施され、背表紙には小さな宝石が埋め込まれていた。

ページの縁には妖精の羽根を模した模様が浮かび、開くたびに淡い光が走る。


「豪華になった……!」


進化した図鑑には、新しい機能が追加されていた。



【マモノぢから


• 概要:登録済みのマモノが持つ個性的な能力を、一時的に借りて使用できる

• 使用条件:図鑑進化後、対象マモノとの親和度が一定以上

• 使用制限:一度に一種のみ。時間制限あり





「よくわからないけど……使ってみるか」


たぬまりは、まず「きらきら」を試してみる。

手を軽く振ると、指先から光の粒がふわふわと舞い始めた。


「……おお」


空気に溶けるような光が、周囲に広がる。

花の香りと混ざって、まるで夢の中のような空間になった。


効果は今のところよく分からないが、周囲の妖精たちは大喜び。


「まじょ まほー!」

「おそろいー!」

「きらきらー!」


たぬまりの周りで、妖精たちが小躍りを始める。


「むふふ」


続いて、マモノ図鑑のマモノ力を試すことに。

図鑑をパラパラとめくり、害のなさそうなマモノを探す。




■登録マモノ:ピカリネ

種族:光虫

属性:光

特徴:小さな羽虫型マモノ。夜になると発光し、群れで飛ぶ。

生態:湿った草地や川辺に多く、昼間は葉の裏に隠れている。

性格:臆病で、音に敏感。

弱点:闇属性に極端に弱く、暗闇では行動不能になる。

保有スキル:

《ちいさなひかり》:微弱な光を放ち、周囲の視界を確保する

《群れの舞》:複数体で飛ぶと、視覚妨害効果が発生する

コメント:ちっちゃい。光る。うるさい。




「これにしよう」


たぬまりが《ちいさなひかり》を選択すると、手のひらにぼんやりとした光が現れた。

温かく、柔らかく、まるで小さな灯火のよう。


「……これ、洞窟とか夜に便利そう」


近くにいた妖精が、ピカリネに似た光を放っていたらしく、嬉しそうに跳ねている。


「おそろいー!」

「ぴかぴかー!」

「まじょ、うまい!」


たぬまりはご機嫌になって、妖精たちと一緒にくるくると踊った。

光の粒が舞い、花びらが風に乗って揺れる。


そうしていると、遠征組が戻ってきた。


「たぬまりちゃん、ただいまー!」

「女王どこだー?見つからない!」

「このフィールド、そんなに広くないのに……」

「途中で置いてきちゃったことに気づいて、戻ってきたよ」


「おかえり」


たぬまりは、光を手のひらで包みながら答える。


「女王、いなかったの?」


「うん。あちこち探したけど、姿が見えなくて……」

「でも、何か仕掛けがあるのかも。条件を満たさないと出てこないとか」

「それっぽい場所はあったけど、反応なしだったね」

「たぬまりちゃん、何か変わったことなかった?」


「えーと……図鑑が進化した。あと、妖精魔法も使えるようになった」


「えっ!?それ、すごくない!?」

「やっぱり置いてきたの失敗だったかも……」

「でも、戻ってきてよかったー!」




その後、みんなで花園をもう一度見て回ることに。

妖精たちはたぬまりに懐いていて、遠征組にも興味津々。

「ともだちー?」

「おおきいー!」

「つよそうー!」

サキが「強いよ」と答えると、妖精たちが「つよいー!」と真似して跳ね回った。


「じゃあ、女王を探します!」


たぬまりがそう言った瞬間、周囲の妖精たちがぴたりと動きを止めた。

風に揺れていた花も、ふわりと静まる。


「じょうおうさまに……あいたい?」


一番近くにいた妖精が、たぬまりの顔をのぞき込むようにして問いかける。

声は小さく、けれど真剣だった。


「え?知ってるの?女王の居場所」


「しってるよ」

「しってるー」

「みんな、しってる」


妖精たちが口々に答える。

その声は、さっきまでの無邪気な調子とは違っていた。


すると、一人の妖精がふわりと前に出る。

花びらのような羽を広げ、空中に浮かびながら、流暢な口調で語り始めた。


「魔女が会いたいなら、会わせてあげる。女王様が望んだことだから」


その言葉が広がった瞬間——

辺りが、シン……と静まり返った。


たぬまりも、遠征組も、思わず息を飲む。

さっきまでのきらきらした空気が、まるで別の空間に変わったようだった。


妖精たちは、互いに手をつなぎ始める。

小さな手と手が繋がり、たぬまりと遠征組を囲うように、大きな輪ができていく。


そして——

歌が始まった。


言葉にならない、旋律だけの歌。

高く、低く、風のように流れる声が、花園に響く。


それは、明るく愉快だったこれまでの妖精たちとは違う、厳かな儀式のようだった。

たぬまりは、輪の中心で立ち尽くす。

遠征組も、声を出せずに見守っている。

すると——

広場の中心にそびえる巨大な木が、ゆっくりと光り始めた。


幹の表面に、淡い光が走る。

枝の先まで、光が伝い、木全体が輝きに包まれる。


「……あれ」


サキが小さく呟く。

木の根元に、洞が開いていく。

光に包まれながら、ゆっくりと、中心に人影が現れる。

その姿はまだはっきりとは見えない。

けれど、確かにそこに“誰か”が立っていた。


妖精たちの歌が止む。

輪がほどけ、空気が戻ってくる。

一人の妖精が、たぬまりの前に出て、静かに言った。


「女王様がお呼びです」


たぬまりは、遠征組と顔を見合わせる。

誰も言葉を発さないまま、ゆっくりと頷いた。

そして、広場へと歩き出す。

いつも仕事中に執筆しています。今日は珍しく仕事が忙しくて書き上がるか怪しかったです。っかー!あぶねー!

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