表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイドさんのマモノ図鑑  作者: 吉良 鈴
はじまりの大陸

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/107

#11 バイブ機能付き

夢見亭の昼下がり。

たぬまりは、ふかふかのソファに沈みながら、ツバキとこまちにお土産を渡していた。


「はい、これ。高級食材と、布と、宝石の巾着」

「えっ、なっ!?すごいぞこれ!?」

ツバキが目を輝かせる。こまちは布を撫でながら「手触り、最高……」と呟いた。


「で、これが昨日の成果」

たぬまりは図鑑を開いて、クロミルとキンボルの登録ページを見せる。


「……どこでこんなの手に入れたの?」

「他言無用って言われた」

「えっ、そういう系?」

「メダルってことはやっぱギャンブル……?」

「見た感じカジノ? いや裏カジノとか?」


たぬまりは黙っていた。

その沈黙が逆に盛り上がる。


その間も、テーブルの端に置かれた透明なケースが、コトン……と小さく揺れていた。

中には、金ピカのレプリカチップ。夜の遊戯室からの帰り道でも、ずっと主張していた存在だ。


たぬまりは、それを完全にスルーしていた。

「見なかったことにしよう」と決めていたのだ。


しかし、他のお土産を見ている最中——


「……ねえ、それ、動いてない?」

こまちが指差す。


ケースの中で、チップがガタガタと揺れている。

ツバキも「なんか、怒ってる?」と眉をひそめる。


「……バイブ機能付きだったか」

たぬまりがぼそりと呟くと、チップが抗議するようにブルブルと激しく振動した。


「うわ、めっちゃ主張してるじゃん」

「もう無視できないよこれ」


仕方なく、たぬまりがケースを開けてチップを取り出すと、チップはぴょんと跳ねた。嬉しそうに。


「……キンボル、ついてきたな?」


しまおうとすると、またブルブル。

どうやら、たぬまりのそばに居たいらしい。

「でも、持ち運びづらいんだよな……」


困っていると、店長がぽつりと提案した。

「金なんだし、溶かしてアクセサリーにしたら?」


キンボルがガクガク震える。嫌そうだ。

しかし、周囲は「嬉しいんだな!」と解釈して盛り上がる。

ちょっと可哀想なので提案してみる。

「じゃあ、宝石の巾着に入るか、アクセサリーになるか、どっちがいい?」

たぬまりは優しく問いかける。


「アクセサリーなら、この夜空みたいな宝石と一緒にイヤリングにしてもらってもいいよ」

キンボルは巾着に近づいていたがピタッと動きを止めた。

そして、宝石の方へぴょんと跳ねる。


「……巾着は嫌だったんだな。じゃあ、イヤリングにしよう」


加工できる職人のアテがなかったが、常連の一人が「腕のいい金属細工師を知ってる」と紹介してくれた。

ひとまず、そこへ相談してみることに。


さて、もうひとつの目玉——魔女の箒。


「これ、かっこよかったから貰ってきた!」

たぬまりは箒に跨る。むふふ!


すると、ふわり。

箒ごと身体が浮いた。


「浮いた……!」


店内をゆったりと旋回するたぬまり。

ソファの間をすり抜け、天井近くをふわふわと漂う。


「鑑定してみたよ」

別の常連が、魔女の箒の効果を教えてくれた。


魔女のナイトウィスプ


• 種別:浮遊型乗り物

• 効果①:浮遊移動(地形を問わず、ゆるやかに移動可能)

• 効果②:幸運値+5(遊戯・探索・交渉時に微増補正)

• 備考:魔女の気まぐれが宿っており、使用者の気分に応じて浮遊速度が変化することがある。



「……良い乗り物。君はアッシーくんだ。」

たぬまりは箒を撫でながら、満足げに頷いた。


そして、ツバキが動き出す。

「高級食材、使わせてもらうぞ!」


厨房から漂う香りが、夢見亭の空気を一変させる。


まず出てきたのは、星獣のロースステーキ。

銀色の脂がきらめき、ナイフを入れるとじゅわっと肉汁が溢れる。


次に、深海茸の香草グリル。

青白く光るキノコが、香草と共に焼かれ、幻想的な香りを放つ。


最後に、幻鳥の卵と月果の冷製スープ。

淡い紫色のスープに、金色の卵が浮かび、まるで夜空に浮かぶ月のよう。


「うまっ」

「なにこれ、やば……」

「味が、深い……」


みんなが驚き、感嘆し、笑顔になる。

もはや、言葉は要らない。

食べた者は言葉がなくても分かり合える。


たぬまりは、ふかふかのソファに沈みながら、冷たい飲み物を片手にその様子を眺めていた。

「いいとこだな、ほんと」


そして、ログアウト。




翌朝。

現実のたぬまりは、目覚ましの音で目を覚ます。


夢見亭での出来事を思い出しながら、朝の支度をする。

キンボルの跳ねる姿、魔女の箒、ツバキの料理——どれも鮮やかに蘇る。


「なんか、最近いい方向に転がってるな……」


大学への道も、いつもと変わらないはずなのに、今日は少しだけ生き生きとして見える。


「今日も帰ったら、がんばろう」

たぬまりはそう呟いて、歩き出した。

ドンキーコングバナンザ面白かったです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ