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メイドさんのマモノ図鑑  作者: 吉良 鈴
にばんめの大陸

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100/107

#100 新大陸

海の上を、たぬまりは魔女の箒に乗って進んでいた。

風は穏やかで、波は静か。空と海の境界が曖昧になるほど、どこまでも青が続いている。

目的地はない。ただ、地図の端を目指しているだけだった。


「ずっと海だな……」


独り言を漏らしながら、たぬまりは進路を変えずに飛び続ける。

何かがあるかもしれないし、何もないかもしれない。

それでも、行けるところまで行ってみたい。そういう気分だった。


やがて、周囲に霧が立ち込め始めた。

最初は薄く、すぐ晴れるだろうと思っていたが、次第に濃くなり、視界はほとんど白に染まった。

海も空も見えない。自分がどこにいるのかも分からない。

もしかすると、これ以上は進めないという演出なのかもしれない。

ゲームの境界線。そういうものがあるなら、今まさにそこに触れているのかもしれない。


それでも、たぬまりは進む。

方向は変えない。速度も落とさない。

ただ、箒を信じて前へ。


しばらくすると、霧が少しずつ薄れていった。

白の中に、灰色が混ざり、やがて青が戻ってくる。

そして、遠くに陸地が見えた。


「……大陸?」


たぬまりは目を細める。

巨大な陸地が、霧の向こうに広がっていた。

マップを一周してしまったのか、それとも本当に新しい場所なのか。

どちらにせよ、確認するしかない。


箒を加速させて近づいていくと、海上にちらほらと船が見え始めた。

帆を張った小型船から、複数の甲板を持つ大型船まで、種類はさまざま。

乗っているのは、獣人たちだった。

耳がぴんと立ち、尻尾を揺らしながら作業している姿は、どこか愛らしい。


「かわいいな……」


たぬまりは、彼らの姿を眺めながら港へと向かう。

船員たちは特に警戒する様子もなく、たぬまりの箒を見て手を振ってくる者もいた。


港に降り立つと、画面にアナウンスが表示された。


【ワールドアナウンス:新大陸フェルナティア発見】

【ワールドアナウンス:獣人のルーヴェル到達】

【現在地:犬族のモルテール


「ふむ……」


たぬまりは、港の石畳を踏みしめながら周囲を見渡す。

街並みは爽やかだった。

白い壁に青い屋根の建物が並び、通りには花が咲いている。

風は涼しく、空気は澄んでいる。

犬族らしき獣人たちが、二足歩行で行き交い、笑い声があちこちから聞こえてくる。


「まずは転送クリスタルだな」


たぬまりは、街の中心にある広場へ向かった。

そこには、淡い光を放つクリスタルが立っていた。

触れると、画面に登録完了の表示が出る。


転送地点モルテール登録完了】


「よし……」


一息ついて、拠点登録してあるユメノネの夢見亭に転移しようとしたが、画面にはエラーが表示された。


【別大陸間の転送は無効です】


「えっ、ダメなの?」


試しにもう一度、たぬまりはマモノ図鑑と銀の鍵を取り出す。図鑑から夢見亭を選んでみるが、同じ表示が出る。銀の鍵も反応しない。

どうやら、フェルナティア大陸からは、他の大陸へ直接戻ることができないらしい。


「魔女の箒で戻るしかないのか……だるすぎる」


たぬまりは、スマホを取り出して連絡を入れる。


「別大陸から帰れなくなった」


送信してから、ふと視線を感じて顔を上げると、広場の隅で一匹の犬族がこちらを見ていた。

二足歩行で、耳がぴんと立ち、尻尾をぶんぶんと振っている。

好奇心に満ちた瞳で、たぬまりをじっと見つめている。


「……なんだろう、話しかけてくるのかな」


たぬまりは、少しだけ身構えながらも、箒をしまって歩み寄る。

犬族の少年らしきその獣人は、首をかしげながら一歩前に出た。


尻尾が揺れている。

目が合うと、耳がぴくりと動いた。


たぬまりは、マップを開いて確認する。

フェルナティア大陸は、まだほとんど未踏のままだ。

端まで行けるかどうかは分からない。

でも、試してみる価値はある。


「さて、どうしようか」


たぬまりは、犬族の少年をちらりと見て、マップを閉じた。

探索は、まだ始まったばかりだった。

ウコンを飲んで飲み会に行きます。

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>ウコンを飲んで飲み会に行きます。 戦場へ赴く一兵士に敬礼!
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